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マグネシウムの吸収と代謝、吸収率の変化や体内分布について




はじめに

今回はマグネシウムの吸収や排泄、代謝について見ていきます。まずはマグネシウムが体内でどの部位に多く存在しているのかを見ていき、その上でどこから吸収され、吸収率は摂取量に応じてどのように変化するのか、吸収率に影響する因子にはどのようなものがあるかを見ていきます。そして最後にマグネシウムの摂取量と排泄量、体内のマグネシウム量はどのようにして調節されているのか、どの部位で蓄えられているのかなどについて詳しく見ていきます。






マグネシウムの体内分布

体内では骨や筋肉に多く含まれる


マグネシウムは70kgの成人で約1000mmol(ミリモル)体内に含まれます。モルとは物質量を表す単位で下記で詳しく解説します。1mmolは24mgで1000mmolなら24gになります。そのうちの65%の650mmol(15.6mg)が骨に存在し、27%の270mmol(6.48g)が筋肉中に、7%の70mmol(1.68g)がその他の組織に、そして残りの1%の10mmol(0.24g)が細胞外液中に存在します。このようにマグネシウムの大半は骨や筋肉内に存在しています。

マグネシウムの体内分布

■1モルとは
1モルとは物質量を表す単位で炭素12(炭素の同位体)12g中に含まれる原資の数が約6.0×10の23乗個だったので、原子や分子やイオンが6.0×10の23乗個ある状態を1モルと定めています。6.0×10の23乗個はアボガドロ数とも呼ばれます。



マグネシウムの吸収

小腸で主に2つの輸送系で吸収される


摂取したマグネシウムは基本的に小腸で吸収されます。吸収は受動拡散(受動輸送)と能動輸送の2つの輸送系があることがわかっています。拡散とは濃度の高い方から低い方へと輸送されることです。この場合エネルギーは必要としません。一方で能動輸送とはエネルギーを消費して運搬体(担体)により濃度の低い方から濃度の高い方へと輸送されます。

受動輸送と能動輸送

マグネシウムの吸収率の変化


マグネシウムは平均的な摂取量であればその吸収率は30〜50%ほどです。ただし摂取量が減少すると吸収率は上昇します。この吸収量の調節はエネルギーを消費をともなう能動輸送によって行われます。アメリカ人の4〜8歳を対象とした調査では摂取量が約200mg/日の場合、吸収率は約60〜70%でした。

吸収の促進因子と抑制因子


マグネシウムは共存するたんぱく質、糖質、ナトリウム、ビタミンD、PTH(副甲状腺ホルモン)によって促進し、脂肪酸、カルシウム、リンの過剰摂取により抑制されます。



マグネシウムの代謝、摂取量と排泄量

マグネシウムの平均摂取量は?


厚生労働省が毎年調査・発表している「国民健康・栄養調査」平成28年度版によるとマグネシウムの1日の平均摂取量は20歳以上男性で260mg、20歳以上女性で234mgとされています。ここでは280mg摂取した場合の体内での吸収と代謝、排泄の一モデルについて見ていくことにします。

マグネシウムの摂取量と排泄量


摂取したマグネシウム280mgのうち125mgが小腸で吸収され、一方骨や軟組織から溶出した50mgが血漿中から腸管を通して糞便中へと分泌されます。吸収分の125mgから骨からの溶出分の50mgを引いた75mgが差し引きで体内に吸収された分となり、残りの280mgのうちの205mgが糞便中へと排出されます。

マグネシウムの吸収と排泄

骨中マグネシウムの貯蔵庫としての働き


体内の約65%のマグネシウムが骨に含まれますが、そのうちの1/3は骨表面に存在していて、血中へと溶け出しマグネシウムの血中の濃度調節に働き、貯蔵マグネシウムとしての機能を発揮します。マグネシウムの摂取量が減少したり、排泄量が増加した場合、調節作用として働くことで骨のマグネシウム量は低下します。

血漿中のマグネシウムの形体


血漿中のマグネシウムはその55%はマグネシウムイオンとして存在し、約30%がたんぱく質のアルブミンと結合し、残りの15%がリン酸やクエン酸、その他の陰イオンと結合して存在しています。

腎臓でマグネシウムの排泄量を調節


血漿中のマグネシウムは腎臓で大量に濾過(ろか)され再吸収されます。その量は摂取量が280mgなのに対し、濾過量が2520mg、再吸収量が2445mgです。残りの75mgが尿として体外に排出されます。糞便中の205mgと尿中の75mgと合わせて280mgで、摂取量の280mgと同量となります。腸管での吸収量と腎臓での排泄量の調節により体内のマグネシウムの恒常性は保たれています。マグネシウムの摂取量が減少した場合は、吸収率が上がるだけでなく、腎臓から尿中への排泄量も減少し、最大では尿中への排泄量は皆無となります。






参考文献
医療従事者のための機能性食品ガイド
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ改訂第5版
サプリメントデータブック
基礎栄養学 スタンダード栄養・食物シリーズ 第3版
栄養・健康科学シリーズ生化学
身体に必要なミネラルの基礎知識
日本人の食事摂取基準2015年版
ポケットアトラス栄養学



この記事を書いた人

kain

kain

ビタミネ管理人のkainと申します。2003年より当サイトを運営。ビタミンやミネラルに関する記事を多くの参考文献をもとに多数執筆。各記事には参考文献一覧も明示。

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公開日 2017/12/02








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