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誘導脂質について2(ステロイド)




ステロイドとは

ステロイドは誘導脂質の一種でステロイド核という基本構造を持つアルコール性化合物です。ステロイドの中でもステロイド核のC-3位に水酸基(-OH)を持つものはステロールといいます。生体内で重要な生理作用を持つステロイドとして、コレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)などがあります。



誘導脂質脂肪酸飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸
イコサノイドプロスタグランジン、トロンボキサンチン、ロイコトリエン、他
ステロイドコレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモン
リポたんぱく質キロミクロン、VLDL、IDL、LDL、HDL
脂溶性ビタミンビタミンA、D、E、K





コレステロールとは

コレステロールは体内で最も多く存在するステロイドで主に肝臓で合成され、血中の各種リポたんぱく質によって輸送されます。コレステロールはコレステロールを合成している組織や多くの膜組織が密集している臓器である脳や脊髄、肝臓などに多く分布しています。コレステロールは生体膜の主要な構成成分でありその機能の維持に大きな役割を担います。また胆汁酸、ステロイドホルモン、ビタミンDなどの前駆体(前段階の状態)でもあります。

肝臓は1日に必要なコレステロール量(3〜5g)の約90%を合成しており、その合成量は血中のコレステロール量により制御されています。コレステロールは体内で種々の重要な役割を担っていますが、血中コレステロール量の増加に伴い心臓病の危険性が高くなることが知られています。




胆汁酸

胆汁酸は側鎖にカルボキシル基(COOH)を持つカルボン酸の一種で、肝臓で合成される一次胆汁酸と腸内細菌によって変換された二次胆汁酸があります。一次胆汁酸にはコール酸やケノデオキシコール酸があり、肝臓においてグリシンやタウリンと結合した胆汁酸塩(または抱合型胆汁酸)という形で存在しています。グリシンと結合した物をグリココール酸、グリコケノデオキシコール酸といい、タウリンと結合した物をタウロコール酸、タウロケノデオキシコール酸といいます。コール酸とケノデオキシコール酸は腸内細菌によって二次胆汁酸であるデオキシコール酸とリトコール酸に変換されます。

脂肪酸のC17位につく側鎖部分であるカルボキシル基やグリシン、タウリンは親水性で、ステロイド核の部分は疎水性なのでリン脂質と同じように両親媒性があります。水と油をなじませる乳化作用があるので摂取した食物中の脂質を水となじみやすくして消化吸収を助ける働きがあります。




ステロイドホルモン

ホルモンを生化学的本質や形成様式で分類するとステロイドホルモン、アミノ酸から作られるホルモン、ペプチドホルモンに分類できます。ステロイドホルモンはステロイド核を持っているホルモンで、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどがあります。


副腎皮質ホルモン

副腎皮質で合成される副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド)には多くの種類がありますが、生理活性を示すのはグルココルチコイドとミネラルコルチコイドなどわずかです。その他の大部分のコルチコステロイドは前駆体や代謝中間体などとして存在しています。これらステロイドの分泌は脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって調節されていますが、身体的・精神的ストレスによっても増加します。

■ グルココルチコイド
グルココルチコイドのうち主要なものはコルチゾールで他にはコルチゾンやコルチコステロンなどがあります。グルココルチコイドはアミノ酸の糖新生(糖質以外からエネルギー源であるグルコースを生成)やたんぱく質、脂肪の代謝を促進する働きがあります。抗炎症作用や免疫系の働きの抑制作用などもあります。



■ ミネラルコルチコイド
ミネラルコルチコイドで代表的な物はアルドステロンです。アルドステロンは腎臓の尿細管におけるNA+とCL-の再吸収を促進し、K+の尿中排泄を促進します。全身的な電解質の調節作用もあります。




性ホルモン

性腺で合成されるステロイドホルモンを性ホルモンといいます。性ホルモンの分泌は脳下垂体の性腺刺激ホルモンにより調節されています。

■ 男性ホルモン
男性ホルモンはアンドロゲン、雄性ホルモンとも呼ばれ、精巣ではアンドロゲンの一種テストステロンが合成・分泌されます。テストステロンは男性らしさの発達や精子形成のほか、遺伝子調節やたんぱく質の合成促進に関与します。



■ 女性ホルモン
卵巣で合成される女性ホルモンは2種類に分類され、1つは卵胞から分泌されるエストロゲンともう1つは排卵後の黄体から分泌される黄体ホルモンのプロゲステロンです。エストロゲンにはエストロンやエストラジオール、エストリオールなどがあります。エストロゲンは女性らしさの発達や卵胞発育促進、子宮内膜肥厚などに働き、プロゲステロンは黄体の形成や受精卵着床準備、妊娠維持に働きます。










参考文献
基礎栄養学
栄養科学シリーズNEXT 生化学
栄養・健康化学シリーズ 生化学
わかりやすい生化学
有機化学 (わかる化学シリーズ)



この記事を書いた人

kain

kain

ビタミネ管理人のkainと申します。2003年より当サイトを運営。ビタミンやミネラルに関する記事を多くの参考文献をもとに多数執筆。各記事には参考文献一覧も明示。

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text by 2011/04/01






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