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脂質とは | |||
今回から数回に分けて5大栄養素の1つでビタミンやミネラルとの関わりも深い脂質について見て行きます。脂質とは生体物質のうち、水にはほとんど溶けずに、エーテル、クロロホルム、アセトンなどの有機溶媒には溶けやすい性質を持つ物質の総称です。脂質は中性脂肪の形でエネルギーの貯蔵、内臓の保護、熱の発散の防止の役割を担い、複合脂質、誘導脂質の形で、生体膜の構成成分やステロイドホルモンの前駆体(前段階の状態)として機能します。
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脂質の分類 | |||
脂質は単純脂質、複合脂質、誘導脂質の大きく3つに分類されます。
単純脂質 - 脂肪酸とアルコールのエステル
※.エステルとは酸とアルコールの化合物のことです。
複合脂質 - 脂肪酸とアルコールとその他の物質との化合物 誘導脂質 - 単純脂質、複合脂質の加水分解によって生じる化合物
■脂質の分類
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脂肪酸とは | |||
脂肪酸は多くの脂質に共通の構成成分であり、直鎖(まっすぐに連なる)した複数の炭化水素とその両端にメチル基(-CH3)、カルボキシル基(-COOH)が結合した物質です。脂肪酸は炭化水素2つをひとつの単位として合成されているため脂肪酸の炭化水素の数は偶数個になります。炭化水素の数が4以下のものを短鎖脂肪酸、6〜10のものを中鎖脂肪酸、12以上の物を長鎖脂肪酸と言います。 脂肪酸はさらに炭素同士に二重結合した部位がないものを飽和脂肪酸、二重結合の部位が1ヵ所あるものを一価不飽和脂肪酸、複数あるものを多価不飽和脂肪酸と言います。 ■脂肪酸の分類
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脂肪酸の構造式と化学式 | |||
構造式では連結部の炭素(C)と炭素と結合する水素(H)は省略されています。番号はカルボキシル基(COOH)側からみた数字です。反対側のメチル基(CH3)側からみた場合はn-1,n-2と表示します。この式を化学式で表すと次のようになります。 CH3CH2CH2CH2CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C00H |
各脂肪酸について | |||
■ 飽和脂肪酸
脂肪酸の分子内に二重結合を含まないもの。牛脂やラードなどの動物性脂肪やパーム油、ヤシ湯などに多い。R・COOHの形で表される。パルミチン酸、ステアリン酸は自然界に多く存在する。飽和脂肪酸は炭素の数が多くなるほど融点(固体から液体に変わる温度)が高くなる。すなわち液化しづらくなる。 ■ 一価不飽和脂肪酸 脂肪酸の分子内に二重結合を1ヵ所含むもの。魚油、鯨油、オリーブ油などに多い。融点は低め。 ■ 多価不飽和脂肪酸 脂肪酸の分子内に二重結合を数箇所含むもの。魚油、肝油、植物油に多い。リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸は必須脂肪酸といい、不足すると特有の不足症状を生じる。二重結合の数が多くなるほど融点は低くなる。すなわち温度が低くても固化しにくい。多価不飽和脂肪酸は酸化されやすい特徴がある。 ■ トランス脂肪酸 化学式が同じでも二重結合の部位の構造が違うものをシス-トランス異性体といいます。例をだすと、以下の図で化学式がおなじ不飽和脂肪酸のオレイン酸と、エライジン酸の構造式を示しました。両者の違いは二重結合部の構造の違いです。エライジン酸は二重結合を挟んで水素(H)が対角線上に、オレイン酸はその逆に結合しています。エライジン酸のような二重結合の仕方をトランス型、オレイン酸のような二重結合をシス型と呼んで区別しているのです。自然界ではシス型が、加工食品などにはトランス型が多いのが特徴です。 |
参考文献
基礎栄養学 基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ 栄養・健康化学シリーズ 生化学 栄養科学シリーズNEXT 生化学 わかりやすい生化学 絵とき 生化学入門 |
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text by 2007/08/25 |
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