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酵素について


はじめに

ビタミンやミネラルの効能を紹介していく中で、 たびたびその文中に登場して来た「酵素・補酵素」という言葉ですが、 わかったようでよくわからない、とにかくそういうものとして、 読み進めていた方も少なくないかと思います。そこで今回はビタミンやミネラルとも関連の深いこの酵素について、これから数回に渡り特集して行きます。


酵素とは

酵素は体の触媒ともよばれ、合成や分解など体の様々な化学反応において なくてはならないものです。 触媒とは化学反応の前後で、それ自身は変化せずに、反応のスピードを増減させるものです。 スピードを早めるものは正触媒、遅らせるものは負触媒と言います。


酵素の働き

ある物質(基質S)から生成物(P)形成までの化学変化において、どのような場合でも基質はまずエネルギーレベルの高い反応中間物質を経て、生成物を作ります。
通常この過程では大きなエネルギーの障壁を越えなければいけません。 この障壁のことを活性化エネルギーといいます。

酵素は分子量1万から数百万まで幅のある大きなタンパク質分子で、
柔軟性に富み、特有の形状をしています。
酵素はその一部分に結合可能な特別な部分(活性部位)を持っていて、
活性部位に合う小さな基質分子の形を正確に見極め、自分にうまくはめ込んでいきます。
そうして基質と酵素が結びつくことで酵素-基質複合体を作ります。
この際の微妙な構造変化により、化学反応の際のエネルギーレベルを大きく引き下げる効果を発揮します。 その結果、化学反応が進みやすくなるというわけです。

■活性化エネルギーについて


酵素と補助因子について

酵素は球状のたんぱく質で、たんぱく質のみで働くものと、たんぱく質以外の補助因子と結びついてはじめて機能するものとに分類することが出来ます。

補助因子にもいくつか種類があり、まずはマグネシウムやカルシウム、ナトリウムなどの金属イオン低分子有機化合物とに分類されます。 低分子有機化合物はさらにビタミンB群を前駆体(ある物質になる前の段階のもの)として酵素とゆるやかに結合する補酵素
ビオチンやヘムなど共有結合で酵素としっかりと結合する補欠分子族とに分類されます。

補助因子を必要とするものでは、たんぱく質のみの部分をアポ酵素とよび、
補助因子と結合した状態のものをホロ酵素と呼びます。

- たんぱく質のみ -

- 補助因子を含むもの -


基質特異性、反応特異性

酵素は1つの基質にしか反応しないという基質特異性を備えます。また1つの反応のみに限局され、その他の副反応を引き起こさないという反応特異性も併せ持ちます。

酵素がどのようにして基質を見分けているのかについては諸説あるのですが、
これまでは、基質や酵素、活性部位の立体構造による【鍵と鍵穴説】が一般的でした。
最近では、基質が活性部位に近づくと活性部位が柔軟にその構造を変化させて、 基質と結合し、酵素・基質複合体を作るという【誘導適合説】という考え方が広まりつつあります。


酵素の分類

酵素は様々な化学反応と関係しており、酵素の数も数千種類に及びます。
国際生化学連合(IUB)では、酵素をその作用に応じて 大きく6つの系統に分類しています。
ここではその6系統を反応別に3つのグループにわけて解説します。

基質の分解に関与する酵素
■ 加水分解酵素(ヒドロラーゼ)
水を加えて基質を分解する酵素を加水分解酵素と言います。
-- 例 --
・アミラーゼ(デンプンを麦芽糖に分解)  ・ATPアーゼ(生体エネルギーATPを分解)
・リパーゼ  ・ペプチターゼ
■ 除去酵素(リアーゼ)
水など他の物質を必要とせずに基質を分解する酵素を除去酵素と言います。
-- 例 --
・カタラーゼ(過酸化水素を酸素と水に分解する)  ・カルボキシラーゼ(発酵過程で、基質から二酸化炭素を除去する)  ・ピルビン酸脱炭素酵素
基質の変化に関与する酵素
■ 転移酵素(トランスフェラーゼ)
ある基質の一部分である基(アミノ基、リン酸基など)を、他の気質に移動させる酵素を転移酵素といいます。
-- 例 --
・アミノトランスフェラーゼ  ・ヘキソキナーゼ
■ 異性化酵素(イソメラーゼ)
ある基質の分子の中の原子の配列状態を変えることで、基質を変化させる酵素を異性化酵素といいます。
-- 例 --
・グルコースリン酸イソメラーゼ  ・アラニンラセマー
その他の酵素
■ 酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)
基質から水素もしくは電子を奪い(酸化)、奪った水素を補酵素に渡す(還元)酵素を酸化還元酵素といいます。
-- 例 --
・アルコール脱水素酵素  ・乳酸脱水素酵素
■ 合成酵素(リガーゼ)
ATPを利用して基質と基質を合成させる酵素を合成酵素と言います。
-- 例 --
・ピルビン酸カルボキシラーゼ  ・グルタミン合成酵素


酵素反応に影響する様々な要因

pHの影響
酵素反応はpH値の影響を受け、酵素反応にとって最も最適なpH値を至適pH(optimum pH)といいます。酵素がpHの影響を受けるのは、pH値により活性部位の立体構造が変化し、基質との結びつきにも影響がでてくるからです。一般に7pH付近が最も活性が高く、4以下、10以上になると活性が失われます。

温度の影響
酵素反応は温度の影響を受け、酵素反応にとって最も最適な温度を 至適温度(optimum temperature)といいます。 酵素の平均至適温度は37度前後です。
通常化学反応は温度が高くなるほど活性化しますが、酵素の場合 至適温度を越えてくると熱変性を起こし活性が失われていきます。

基質濃度の影響
酵素の濃度は一定で、基質の濃度を変化させた場合、それに比例して酵素の反応速度(一定時間にどれだけ基質から生成物を作ることが出来るか)も増減します。基質の濃度が過剰になると、徐々に反応速度の変化も水平へと近づき、最後には一定になります。 酵素の最大反応速度を正確に求めるのは難しいことですが、最大時の半分の速度は比較的正確にもとめることが出来ます。これをミカエリス定数(Km)といい、酵素ごとに固有の定数となります。 ミカエリス定数が低いほど、その2倍である最大反応速度も小さくなります。

阻害剤の影響
化学薬品や毒物、抗生物質など酵素と結合して化学反応を妨害するものを阻害剤と言います。 阻害剤には基質と構造がよく似ていて、基質と阻害剤で酵素との結合の奪い合いをして反応を妨害する競争妨害(拮抗妨害)と、 基質と構造はにていないが、酵素の活性部位以外の部分と結合して、酵素の構造を変えてしまうことで反応を妨害する非競争妨害(非拮抗妨害)があります。

体内の阻害剤では、代謝産物や酵素反応の最終産物が非競争阻害剤として、その量が増えてくると その一連の反応の最初の酵素の反応を阻害して、全体の代謝による生成物の量を調節するものがあります。このような流れをフィードバック制御と呼び、ここで調節を受ける酵素をアロステリック酵素といいます。






参考文献
栄養・健康化学シリーズ 生化学
栄養科学シリーズNEXT 生化学
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ
絵とき 生化学入門


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text by 2005/04/11






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