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ビタミンB12の効果・効能 | |
ビタミンB12の種類 | |||
ビタミンB12は分子内にコバルトを含むためコバラミンとも呼ばれます。ビタミンB12の誘導体として主なものはシアノコバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンの4つです。誘導体とはある化合物が置き換えや還元、酸化などの化学反応により、もとの化合物の構造や性質を大幅に変えない程度で改変が行われた化合物のことです。ビタミンB12誘導体の内のアデノシルコバラミンとメチルコバラミンが生体内で補酵素として働きます。 |
核酸の合成 | |||
ビタミンB12は葉酸とともに、細胞の分裂・分化には欠かせない遺伝子を構成する核酸の合成に関わっています。拡散にはDNAとRNAの2種類があります。DNAは遺伝情報を格納している部分です。RNAは遺伝情報の読み取りやたんぱく質の合成、たんぱく質の合成に必要なアミノ酸の運搬などの働きをします。ビタミンB12は葉酸とともにこのDNAの合成に関わります。核酸については核酸とは何か、DNA、RNAの違いについてでも詳しく解説しています。では具体的にどのような形で葉酸とともにDNAの合成に関わっているのかを見て行きます。 まず上の図でメチルテトラヒドロ葉酸がテトラヒドロ葉酸に、ホモシステインがメチオニンへと変わる反応があります。この二つの反応にビタミンB12が必要なのです。テトラヒドロ葉酸はその後DNAの合成に使われるので、ビタミンB12が不足するとテトラヒドロ葉酸の合成も影響を受け核酸の一つであるDNAの合成も滞ってしまうわけです。同時にメチオニンの合成にも影響を与えますが、ホモシステインからメチオニンへの合成については後述することにします。 ビタミンB12は赤血球を作る脊髄や胃腸の粘膜など細胞分裂の活発な組織で活躍するため、欠乏すると赤血球の成熟に異常をきたす悪性貧血や、消化器官にも障害を起こします。 |
赤血球の合成に関与 | |||
赤血球は骨髄で作られ、約120日の寿命ののち脾臓で分解されます。新しい赤血球はたえず造られていて、造血の過程で核はなくなりますが、最初は核のある細胞です。核があるという事は普通の細胞と同様核酸(DNA)やたんぱく質も生合成されなければなりません。 赤血球の核酸の合成には葉酸が欠かせませんが、葉酸の合成にはビタミンB12も必要となります。そのため葉酸かビタミンB12のどちらか一方でも不足すると巨赤芽球性貧血の発症の原因となります。巨赤芽球性貧血とは赤血球が正常に作られず容積が大きくなって酸素運搬能力が低下することで起こる貧血症状のことです。
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ホモシステイン濃度を下げる | |||
必須アミノ酸のひとつメチオニンの代謝における中間生成物であるホモシステインの血中濃度が高い人は、動脈硬化や心臓病のリスクが高いことがわかっています。葉酸にはホモシステインの血中濃度を下げる働きがあります。さらに葉酸とビタミンB6,B12を一緒に摂取すると低減効果が高まることがわかっています。ビタミンB12(メチルコバラミン)は葉酸やホモシステインからメチオニンへの合成に関与する酵素であるメチオニンシンターゼの働きを助ける補酵素として働きます。 ビタミンB6はホモシステインのグルタチオンへの代謝に関与します。グルタチオンはホモシステインからシステインに、システインからグルタチオンへと合成されます。グルタチオンは抗酸化物質のひとつです。 |
エネルギー代謝に関与 | |||
エネルギー代謝経路であるクエン酸回路を構成するスクシニルCoAはイソロイシンやバリン、メチオニン、奇数鎖脂肪酸などから生成されます。その生成に関与する酵素であるメチルマロニルCoAムターゼの補酵素としてビタミンB12(アデノシルコバラミン)はエネルギー代謝に関わります。 |
脂質の代謝に関与 | |||
ビタミンB12はレチシン(ホスファチジルコリン)の代謝にも関与します。レチシンは肝臓での脂質代謝や脂質の運搬、リン酸基の供給源などの役割を担います。
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神経機能の維持・改善 | |||
ビタミンB12には末梢神経や中枢神経の機能の維持・改善の働きがあることも知られています。神経線維の軸索を覆っている脂質膜であるミエリン鞘の生成に関与しているため、欠乏が進行すると神経細胞にも障害が起き、知覚異常を引き起します。ビタミンB12は薬理作用の利用も進んでいて、傷ついた末梢神経の回復効果があることから、腰痛などの末梢神経障害に用いられています。また中枢神経に作用することも知られていて、活性型ビタミンB12の大量投与(1,500〜3000μg/日)により睡眠障害が改善された例も報告されています。また時差ぼけの早期改善にもビタミンB12の大量投与が有効といわれています。 |
ビタミンB12の成人推奨量 | |||
ビタミンB12の1日の推奨量は成人男女ともに2.4μg(マイクログラム)です。 |
年齢 | 男性(μg) | 女性(μg) | ||||||
推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 |
推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | |
0〜5 (月) | - | - | 0.4 | - | - | - | 0.4 | - |
6〜11 (月) | - | - | 0.5 | - | - | - | 0.5 | - |
1〜2 | 0.8 | 0.9 | - | - | 0.8 | 0.9 | - | - |
3〜5 | 0.9 | 1.1 | - | - | 0.9 | 1.1 | - | - |
6〜7 | 1.1 | 1.3 | - | - | 1.1 | 1.3 | - | - |
8〜9 | 1.3 | 1.6 | - | - | 1.3 | 1.6 | - | - |
10〜11 | 1.6 | 1.9 | - | - | 1.6 | 1.9 | - | - |
12〜14 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
15〜17 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
18〜29 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
30〜49 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
50〜64 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
65〜74 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
75以上 | 2.0 | 2.4 | - | - | 2.0 | 2.4 | - | - |
妊婦(付加量) | +0.3 | +0.4 | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +0.7 | +0.8 | - | - |
参考文献
医療従事者のための機能性食品 医療従事者のためのサプリメント・機能性食品事典 わかりやすいからだとビタミンの知識 「ビタミン伝説」の真実 サプリメントデータブック サプリメントBOOK―もっと健康!もっとキレイに! エキスパートのためのビタミン・サプリメント 専門医が教えるビタミン・ミネラル早わかり 基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ 基礎栄養学 (スタンダード栄養・食物シリーズ)第3版 科学的根拠に基づくサプリメントの基礎知識 日本人の食事摂取基準(2020年版) |
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最終更新日 2021/03/26 |
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