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鉄分(ヘム鉄、非ヘム鉄)の吸収、代謝




ヘム鉄の吸収

鉄にはポリフィリンと呼ばれるたんぱく質で囲まれたヘム鉄と、それ以外の非ヘム鉄(無機鉄)があります。体内での吸収効率はヘム鉄が非ヘム鉄に対して5〜10倍も優れています。これは小腸にヘム鉄を効率的に取り込むヘム受容体が存在しているためです。ヘム鉄は小腸で吸収された後、小腸細胞内でポリフィリン環から分離して鉄イオン(二価鉄)となります。



非ヘム鉄の吸収

ヘム鉄以外の非ヘム鉄には二価鉄(Fe++)と三価鉄(Fe+++)がありますが、食品に含まれる非ヘム鉄の多くは三価鉄です。食品に含まれる鉄イオンとその他の成分との化合物であるFe化合物はまずは胃酸で化合物から鉄イオンが遊離(離される)されます。鉄イオンである三価鉄はこのままだと吸収率がよくないので小腸粘膜に存在するDcyt1と呼ばれる還元酵素により二価鉄へと還元されます。

二価鉄は小腸上皮にある二価金属輸送たんぱく質(DMT1 - divalent metal transporter 1)から吸収されます。DMT1は鉄のほか二価陽イオンである亜鉛やマンガン、カルシウム、コバルトも吸収することができるため、これら金属とも吸収の上で競合します。


ビタミンCやクエン酸は吸収を助ける

三価鉄は二価鉄に還元されることで吸収されやすくなりますが、ビタミンCやクエン酸もその還元作用から三価鉄を二価鉄へと還元します。これら成分が含まれる食品を一緒に取れば還元酵素であるDcyt1がなくても二価鉄へと還元を進めることができます。このためビタミンCやクエン酸は鉄の吸収促進因子として機能します。


非ヘム鉄の吸収を妨げる要因

鉄の吸収を妨げる成分は?


穀物のフィチン酸や茶のタンニン酸、卵黄のホスビチン、ホウレン草やココアのシュウ酸は鉄と結合することで鉄のイオン化を妨げる働きがあるため、鉄の吸収を阻害する要因となります。

フィチン酸


フィチン酸は植物性食品の豆類や穀類に多く含まれていて、亜鉛や鉄と一緒に摂取すると不溶性の結合体を形成し、吸収効率が低下します。さらにそこにカルシウムが共存すると不溶性が高まります。ビタミンCを添加するとこの結合体の不溶性は低下します。

フィチン酸と亜鉛や鉄の結合体の不溶性の変化


鉄イオンとは何か

イオンについてみる前にまず原子について説明します。原子の中にはプラスの電荷を帯びた陽子とマイナスの電荷を帯びた電子が同数存在し、電気的には中性です。原子から電子が放出されたり取り込まれたりしてその数に増減が発生すると、増えた場合マイナス分が増加するので原子全体ではマイナスの電荷を帯び、減るとマイナス分が減少するので原子全体ではプラスの電荷を帯びます。このように原子から電子の増減が発生したものをイオンといいます。



鉄イオンの場合は例えば三価鉄(Fe+++)なら鉄原資から電子が三つ放出され結果三つのプラスの電荷を帯びた鉄イオン(三価鉄)となります。二価鉄は二つの電子が放出されたイオンです。イオンについては酸化・還元についてでも詳しく解説しています。

上記で出てくる還元とは電子を与える反応のことで、三価鉄に一つの電子が与えられて還元されることで二価鉄へと変わります。


小腸で吸収された鉄分は

小腸上皮で吸収された鉄は腸管上皮細胞基底膜にある酸化酵素のフェロキシダーゼ(ferroxidase)により酸化され、二価鉄から三価鉄となります。過剰な鉄はアポフェリチンというたんぱく質と結合してフェリチンとなり、腸管上皮細胞内で貯蔵されます。その後腸管上皮細胞の剥離により腸管へと排出され、汗や尿、便として体外に排出されます。

腸管から血液中へと移行した鉄は鉄輸送たんぱく質であるトランスフェリンと結合してトランスフェリン結合鉄(血清鉄)となり、血液中を運ばれて行きます。血清鉄は骨髄で赤血球のもととなる赤芽球にあるトランスフェリンレセプター(受容体)と結合して取り込まれ、赤血球の産生に使われます。過剰な鉄はフェリチンとして貯蔵されます。

赤血球は120日の寿命ののち脾臓で破壊され、その際に出る鉄は再びフェリチンとなって貯蔵され、必要に応じて再度赤血球を生成するのに利用されます。また肝臓に送られたトランスフェリンはフェリチンとなり鉄の主要な貯蔵庫として機能します。



体内で効率的に再利用される

上記のように鉄は体内で血清鉄→骨髄→赤血球→脾臓→血清鉄というように体内でその大部分が効率的に再利用されることで、食品からの吸収率が低い中でもその恒常性を保っています。1日に入れ替わる鉄の量は20咾曚匹任后


鉄欠乏時には吸収率が上がる

体内での鉄分の量でも鉄の吸収率は変化します。鉄分が体内で不足して貯蔵鉄が消費され始めると、腸管での鉄分の吸収率が上がります。その量は通常時の5倍にもなるともいわれています。


鉄分の体外への排泄

通常の栄養素や化合物であれば腎臓から尿へ、肝臓から胆汁としてなどの経路で排泄されることが多いのですが、鉄のこうした経路からの排泄はほんのわずかです。大部分は鉄を貯蔵した腸管上皮細胞の剥離や腸管のわずかな出血、皮膚からのはく奪などで、その量は1咾曚匹膿品から吸収される鉄分の量と同程度になります。






参考文献
医療従事者のためのサプリメント・機能性食品事典
「ビタミン伝説」の真実
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学 改訂第5版
基礎栄養学第3版 スタンダード栄養・食物シリーズ
基礎栄養学
サプリメントデータブック
よくわかる栄養学の基本としくみ
身体に必要なミネラルの基礎知識
栄養学の基本がよくわかる事典
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉






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最終更新日 2016/08/01
公開日 2016/06/11






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