ビタミネ





HOME >> ミネラルTOP >> 微量ミネラル >> 鉄分欠乏症・過剰症、鉄欠乏性貧血とは
サイトマップ

鉄分欠乏症・過剰症、鉄欠乏性貧血とは




鉄分欠乏症

鉄欠乏性貧血

鉄には機能鉄と貯蔵鉄と呼ばれるものがあります。機能鉄は赤血球のヘモグロビン、筋肉内のミオグロビン、血中の鉄輸送たんぱく質であるトランスフェリンと結合、各種酵素の構成成分として存在してます。体内で含まれる鉄の60%以上はヘモグロビン内に存在します。貯蔵鉄はフェリチンやヘモシデリンとして肝臓や脾臓内で蓄えられます。

出血や鉄分摂取不足により体内の鉄分が不足するとまずは貯蔵鉄から消費されます。貯蔵鉄が消費されている間はまだ貧血症状は現れないので、この時期を潜在性鉄欠乏症といいます。貯蔵鉄がなくなると血清中の鉄分が消費され、その結果ヘモグロビンを合成するための鉄分も不足してきて血中のヘモグロビン濃度も減少していきます。そうなると様々な貧血症状が現れます。

貧血とはヘモグロビン濃度が低下し、酸素運搬能力が下がった状態を言います。貧血になると体内の各組織に十分に酸素が届けられなくなるため疲れやすくなります。また全身に酸素を送ろうと心臓も活発に活動するため、脈が速くなって息切れしやすくなります。



それでは鉄が欠乏を段階的に見て行くことにしましょう。

・第1段階
潜在的鉄欠乏症。鉄欠乏によりまずは貯蔵鉄が使用される。 無症状で自覚がないことが多い。
・第2段階
貯蔵鉄も枯渇して、血清中の鉄濃度が低下する。
・第3段階
血中のヘモグロビンの濃度も低下する。
・第4段階
倦怠感(疲れやすい、息切れ)や頭痛、食欲不振を起こす。
・第5段階
上皮機能の障害により、口腔粘膜損傷に伴う疼痛や、口角炎を発症する。


欠乏時は吸収率が高まる

生理や外傷などによる出血や食品からの鉄の摂取不足で、体内の鉄分が不足し貯蔵鉄が消費され始めると、腸管での鉄の吸収率が上昇します。その吸収率は通常の5倍にも跳ね上がるといわれています。


貧血は急性では自覚症状も強い

急な貧血では自覚症状も強く感じますが、緩やかな貧血の場合は体も慣れてくるので、貧血の強さの割には自覚症状がそこまで強くないのが一般的です。


他のミネラルとの関連

鉄欠乏状態では鉛の吸収が亢進され、少量の鉛の摂取で鉛中毒を引き起こす。


その他の鉄欠乏症

鉄欠乏症ではこのほか運動能力や免疫力の低下、体温調節不全、慢性疲労、知能発育障害、妊娠への悪影響などもみられます。また爪がもろくなってかけやすくなったり、爪反り返って中央部はくぼんだスプーン状になるスプーン状爪といった症状がおこることもあります。



鉄分が不足・欠乏する要因

食品からの摂取不足

鉄分は世界的にも不足しやすいミネラルです。食品からの鉄分摂取の不足が長期化した場合にも鉄分欠乏症発症の要因となります。ひどい偏食や極端な菜食主義も鉄分欠乏の要因となります。


病気やけがによる出血

鉄分は血液中にも多く含まれているので出血が鉄欠乏の原因にもなります。外傷による出血や潰瘍、結腸ポリープからの多量の出血などです。成人の場合血液の損失が鉄分欠乏症のもっとも一般的な原因で、消化管からの出血がまず疑われます。


成長による鉄需要の増加

成長期の子供は成長と共に多量の鉄を必要とするため、鉄の供給が間に合わずに鉄不足になりやすい。


銅の摂取不足

鉄の代謝に関わる酵素の成分である銅の摂取不足も、鉄欠乏の要因となる。


腸管の鉄吸収能の低下

腸管の鉄分の吸収機能が低下する場合も鉄欠乏の原因となります。


女性は特に鉄欠乏に注意

鉄は血液中のヘモグロビンにも多く含まれているので、月経による出血のある女性は特に欠乏に陥りやすいので注意が必要です。日本食事摂取基準では1回の月経による月経血の平均量は10〜17歳で31.3mLで、18歳以上は37.0mLと設定しています。また月経による一日の鉄損失は10〜17歳で0.46咫18歳以上で0.55咾箸靴討い泙后これを補うために非月経時と比較して月経時の女性は平均必要量、推奨量が3〜4啾燭設定されています。


月経出血量が多い場合は鉄剤の摂取も

女性は月経時は通常よりも鉄分の平均必要量、推奨量共に多くなりますが、これは平均的な経血量での数値です。1回の月経の経血量が80mLを超える過多月経の状態では、その平均必要量、推奨量はさらに増加します。18歳以上の女性の月経時の平均必要量は8.5咾膿箴量は10.5咾任后これが月経過多になると平均必要量は13咫⊃箴量は16咾板靴余紊ります。通常の食生活でこれだけの量を摂取するのはなかなか難しいので、サプリメントなどの錠剤を必要とすることになりますが、まずは医療機関などを受診し、基礎疾患の有無なども確認の上、医師の指導のもと鉄剤を利用するようにしましょう。



鉄分欠乏の指標

血清鉄の量とTIBC、UIBCが主な指標

鉄分の欠乏の指標には血液のヘモグロビン量や血漿中の鉄分の量(血清鉄)、TIBCやUIBCなどがあります。鉄は血漿中ではトランスフェリンと呼ばれる鉄輸送たんぱく質と結合しているので血漿中の鉄分の量イコールトランスフェリンと結合している鉄分の量になります。この量は男子が55〜200μg/dl、女子が50〜160μg/dlです。


TIBCはトランスフェリン総量

トランスフェリンは血漿中の鉄分に対して十分な量があるので、通常その三分の一は鉄分と結合し、残りの三分の二は鉄分と結合しない状態で存在しています。このトランスフェリン全体の量をTIBC(total iron-binding capacity)といいます。TIBCは総鉄結合能ともいいます。この量は成人男子が350〜370μg/dlで、成人女子が250〜450μg/dlです。鉄分が欠乏するとそれが促進因子となり、TIBCの値は増加するので、TIBCも鉄分欠乏の指標として用いられます。


UIBCは鉄未結合のトランスフェリン量

UIBC(unsaturated iron-binding capacity)とは鉄分と欠乏していないトランスフェリンの量で不飽和鉄欠乏能ともいいます。この量が多くなると鉄が欠乏している可能性が出てくるためこちらも鉄欠乏の指標として使われます。成人男子の量は100〜260μg/dl、成人女子の量は110〜330μg/dlです。

指標 成人男子 成人女子
ヘモグロビン量 13.5〜18.0g/dl 12.0〜16.0g/dl
血清鉄 55〜200μg/dl 50〜160μg/dl
TIBC 350〜370μg/dl 250〜450μg/dl
UIBC 100〜260μg/dl 110〜330μg/dl




鉄分の1日の必要量、推奨量

鉄分を欠乏しないためにはまず1日にどの程度必要となるのかを知っておくことが大切です。日本食事摂取基準では1日の鉄分摂取の推奨量を発表しています。この推奨量は年齢とともに増加し、男性は12〜14歳で11.5咾肇圈璽となりそこから少し減少して18〜29歳では推奨量は7.0咾箸覆蠅泙后女性の鉄分の推奨量は10〜14歳がピークで10.0咾箸覆蝓18〜29歳になると6.0咾箸覆蠅泙后

女性の場合は月経により鉄分が体外へと流出してしまうので、月経時はさらに多くの鉄分を摂取しなければなりません。成人女性18〜29歳の月経時の推奨量は10.5mgと設定されています。各年代の推奨量については鉄分の食事摂取基準、一日の必要量、推奨量、上限量は?で解説しています。



鉄分の多い食品

動物性食品で鉄分の多いもの

鉄分の欠乏を予防するには鉄分の多い食品を知っておくことも大切です。鉄分は動物性食品ではほしえびや煮干し、はぜの佃煮やたにし、どじょうや鮎、ほっきがいやほやなどの魚介類に多く含まれます。また牛肉で特に赤身の部分やレバーに多く含まれます。馬、鴨、やぎ、鹿肉も鉄分は豊富です。

煮干しは鉄分が豊富な食品


植物性食品で鉄分の多いもの

植物性食品なら青のりや岩のり、ほしひじきといった藻類に多く含まれます。バジルやタイムといった粉末調味料にもたくさん含まれます。ゴマやカシューナッツといった種実類にも鉄分は多く含まれますが、一度に食べる量が少量なのでそれほど多くの鉄分は摂取できません。植物性食品よりも動物性食品の方が吸収率は高いので、効率的に摂取したいなら動物性食品の方がいいでしょう。植物性食品もビタミンCと一緒に摂取すれば吸収効率を高めることができます。鉄分の多い食品については鉄分の多い食品・食べ物と含有量一覧でも詳しく解説しています。

ほしひじき(鉄釜)は鉄分が豊富な食品



鉄分過剰症

鉄の過剰症については、腸にも存在する貯蔵鉄(フェリチン)が鉄の吸収を促進、抑制して制御しているので、その発現はまれだといえます。過剰症はヘモシデローシスとヘモクロマトーシスの2つに分類できます。ヘモシデローシスでは肝臓や脾臓に貯蔵鉄の滞留がみられます。ヘモクロマトーシスでは肝臓、膵臓、皮膚での貯蔵鉄の沈着が表れます。

ヘモクロマトーシスが進行すると肝硬変、糖尿病、青銅肌の発症をきたします。さらに悪化すると心不全に至るケースもあります。

また遺伝的ヘモクロマトーシスも知られています。これはある遺伝子の変異を原因とし、通常の食生活にもかかわらずに、鉄が過剰に吸収され沈着し過剰症を引き起こすものです。

鉄過剰症にはその他、鉄の過剰摂取により、酸素分子や過酸化水素分子と反応して活性酸素種発生の原因となる事が知られています。



鉄分の1日の耐用上限量

過剰摂取した場合には過剰症も引き起こす鉄分ですが、日本食事摂取基準ではその耐用上限量をどのように定めているのでしょうか。日本食事摂取基準では国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)が発表している鉄分の1日の耐用上限量を1日0.8咫kg体重と定めており、これを参考に各年代の参照体重を掛け合わせて耐用上限量を定めています。この上限量には着色剤用酸化鉄、妊娠および授乳中の鉄サプリメント、治療用鉄剤などによる摂取分は含まれません。

鉄分の耐用上限量は成人男性では50咾法∪人女性では40咾板蠅瓩蕕譴討い泙后D名錣凌生活であれば鉄分が耐用上限量に至るのはまずまれです。サプリメントや治療用の鉄剤などでの摂取において不適切な使用に伴って過剰摂取に至る可能性があります。また大量の輸血により起きる場合もあります。






参考文献
ビタミン・ミネラルBOOK―ストレス解消!体に効く!
サプリメントデータブック
医療従事者のためのサプリメント・機能性食品事典
栄養の基本がわかる図解事典
基礎栄養学 スタンダード栄養・食物シリーズ
基礎栄養学第3版 スタンダード栄養・食物シリーズ
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学
「ビタミン伝説」の真実
よくわかる栄養学の基本としくみ
日本人の食事摂取基準2015



微量ミネラルの欠乏症・過剰症








ページTOPへ
最終更新日 2016/10/22
公開日 2006/03/19






微量ミネラル









since 2003/07/21
Copyright(C)2003 kain All Rights  Reserved