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鉄分の効果・効能




鉄の効果・効能、働きにつて

鉄分といえば貧血との関係を一番に想像される方も多いかと思います。そこでここでは鉄の効果、効能、その働きについて見て行きます。体内に取り込まれた鉄分はその働きにより機能鉄、貯蔵鉄に大きく分類されます。貯蔵鉄とは文字通り鉄分の不足に備え肝臓や脾臓などで蓄えられている鉄です。一方機能鉄は赤血球のヘモグロビンや筋肉細胞のミオグロビン、各種酵素などの構成成分としてその働きに関わります。

体内の6割以上の鉄分はヘモグロビン内に存在します。ヘモグロビンは肺で酸素を取り込み体の各組織へと酸素を運ぶ働きがあります。この働きに鉄は大きな役割を担います。鉄分が不足するとヘモグロビンが十分に合成できなくなるため、鉄欠乏性貧血を引き起こします。

鉄分は貧血以外にもエネルギー代謝や肝臓の解毒作用、活性酸素の除去などにも関わります。それでは以下で鉄の由来や歴史、種類やその働き、効果、効能について詳しく見て行きます。



鉄の名前の由来

鉄は英語ではironと表記され、アングロサクソン語のirenを語源とします。ドイツ語ではeisenと表記され、氷を意味するeisと同じ語源からきていると考えられています。鉄の元素記号はFeで、これは固い、強固なという意味を表すラテン語のferrum(フェッルム)を語源とします。



鉄の歴史

鉄と人との関わりの歴史は非常に古く、紀元前5000年ころのメソポタミア文明の遺跡からも鉄器が発見されています。これらは精錬(不純物を除いて純度の高いものにする)されたものではなく、隕石に含まれる隕鉄を利用したものだと考えられています。隕鉄の特徴の一つが鉄とニッケルから構成されていることで、紀元前3500年ごろの古代エジプト時代の遺跡から発見された鉄製器具にも、7.5%のNi(ニッケル)が含まれています。またニッケルは鉄の腐食を防ぐ働きがあるので、こうした出土品が現代まで残されているのは、隕鉄のおかげであるともいえます。

精錬鉄が登場するのは紀元前1500年ごろのヒッタイト王国が最初だと考えられています。ヒッタイト王国は現在のトルコの中央部に位置する国で、鉄鉱石から鉄を冶金(やきん:鉱石から金属を取り出し、精製・加工する)し始めたのはヒッタイト王国が最初であると考えられています。

大規模な製鉄技術は18世紀半ばの産業革命の時代に入ってから飛躍的に進歩します。それまでは木炭を用いて鉄を精錬してきましたが、木炭に変わりコークス(石炭を蒸し焼きした燃料)を利用するようにより、安価にそして大量に錬鉄を精製することが可能となりました。錬鉄を大量生産できるようになったことで鉄橋や鉄製の船、鉄道の敷設など様々な場面で鉄が大量に使われるようになりました。

人での鉄の必須性も貧血との関係で紀元前400年頃の古代ギリシャ時代から知られており、古代ギリシャの医師であるヒポクラテスも貧血の治療に鉄が有効であると考えていました。17世紀には鉄が血液の構成成分であり、ヘモグロビンに含まれることが実験で明らかになりました。1832年には医師であるブランドが貧血患者に緑バン(硫酸第二鉄)を投与したところ、貧血が改善したと報告しています。



鉄分と貧血

鉄はその65%が赤血球の中のヘモグロビンの構成元素として存在しています。ヘモグロビンは肺から酸素を受け取り、体内を循環して各組織に酸素を送り届ける役割を担いますが、鉄はその働きに大きく関与しているわけです。鉄は赤血球の形成過程にも関わります。赤血球は骨髄(骨の内腔を満たしているやわらかい組織)中の造血幹細胞が分裂し、成熟して行く事で作られます。分裂過程には葉酸とビタミンB12が関わり、成熟過程では鉄とビタミンB6が関わります。もし鉄が不足すると成熟が十分に進まないため、赤血球中のヘモグロビンの合成率が下がり、未熟な赤血球が作られてしまい、結果貧血を引き起こします。



※関連コラム >>貧血とビタミン・ミネラル



鉄とヘモグロビンの関係について

鉄分とヘモグロビンについてもう少し詳しく見て行きます。ヘモグロビンはグロビンというたんぱく質の中にヘムという有機構造を抱えています。たんぱく質は大きく球状たんぱく質と繊維状たんぱく質に分類され、球状たんぱく質の1種がグロビンです。ヘムは以下のヘム鉄と非ヘム鉄のところでも解説しますが、鉄をポリフィリン環と呼ばれるたんぱく質が囲んだ構造をさします。ヘムを抱えるグロビンなのでヘモグロビンといいます。



ヘモグロビンはヘムを抱える4つのグロビンから構成され、一つのグロビン内に1つの鉄原子が含まれます。鉄は酸素と結合しやすく4つの鉄原子に4つの酸素分子を結合することができます。このようにヘモグロビンが酸素を運搬するには鉄が非常に重要な役割を担うのです。



ヘモグロビンの酸素運搬と二酸化炭素回収

ヘモグロビンは肺など酸素濃度の高い場所でたくさんの酸素を受け取り、酸素が消費され酸素濃度の低い各種臓器へと酸素を運搬する働きがあります。酸素を受け取ったヘモグロビンを酸素ヘモグロビンといい、酸素を放出したヘモグロビンを還元ヘモグロビンといいます。ヘモグロビンは酸素濃度の低い場所や二酸化炭素濃度の高い場所で酸素を放出します。

ヘモグロビンは二酸化炭素を回収して肺へと送る働きもあります。二酸化炭素は血漿中に溶け込みその大部分は赤血球内へと移動します。赤血球内では炭酸脱水酵素の働きにより重炭酸イオンと水素イオンに分解されます。重炭酸イオンは再び血漿中へと戻り、肺へと送られます。水素イオンは酸素の代わりに還元ヘモグロビンとくっついて肺まで送られます。二酸化炭素の一部は酸素との結合とは異なる部位でヘモグロビンと結合して肺まで送られます。

まとめると二酸化炭素は大部分は重炭酸イオンと水素として、残りは血漿中への溶け込みとヘモグロビンへの結合で肺まで送られます。肺まで送られると重炭酸イオンは再び水素と結合して二酸化炭素となり、その他で送られてきた二酸化炭素とともに肺から体外へと排出されます。

このように鉄が必要となるヘモグロビンは酸素の運搬と二酸化炭素を回収する働きがあるのです。



鉄は体内で再利用される

小腸から吸収された鉄は鉄輸送タンパク質であるトランスフェリンと結合して血液中を移動します。そして骨髄へと運ばれ赤血球のもととなる赤芽球上にあるトランスフェリン受容体と結合して取り込まれ、赤血球が作られます。赤血球の寿命は120日といわれ、古くなったり劣化した赤血球が脾臓で分解され、分離した鉄はいったんフェリチンとなって貯蔵され、必要に応じてまた赤血球の合成に使われます。このように赤血球の材料として使われる鉄は、赤血球が破壊された後も再び赤血球の材料として再利用されるのです。鉄は食品からの吸収率が悪い栄養素の一つですが、このように体内で効率的に利用することでその恒常性を保っています。




不足に備える貯蔵鉄

鉄の体内での分布は大きく3つに分類されます。

機能鉄 − 血液や筋肉内に含まれる。
貯蔵鉄 − 肝臓にて蓄えられる
組織鉄 − 髪の毛や爪などの組織に含まれる。

機能鉄はヘモグロビン以外にも筋肉細胞のミオグロビンや、血清中で鉄輸送を担う鉄輸送たんぱく質トランスフェリン、チトクロームやカタラーゼ、ペルイオキシダーゼといった酵素の構成成分としても含まれています。貯蔵鉄はフェリチンやヘモシデリンとして肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵されています。成人における各成分内の鉄分布量は以下の通りです。

形態 鉄たんぱく質 75埣忙辧吻咫 55kg女子(mg)
機能鉄 ヘモグロビン 2,300 1,700
ミオグロビン 320 220
ヘム酵素 80 50
非ヘム酵素 100 60
トランスフェリン 3 3
貯蔵鉄 フェリチン 700 200
ヘモシデリン 300 70
総計 3,800 2,300

出血による鉄の流出や、鉄の摂取不足などにより一番に欠乏するのが機能鉄です。ただし機能鉄が不足しても欠乏による自覚症状は現れません。これは機能鉄の不足を直ちに貯蔵鉄が補うからです。したがって日常生活での鉄分の不足と言うのはすぐには発見しづらいものなのです。この状態を潜在性鉄欠乏と言います。鉄の不足が続き貯蔵鉄まで底をつくと機能鉄の濃度もついには減りだして貧血症状が現れます。さらに不足が続くと組織鉄まで機能鉄に回され、髪の毛が弱くなったり、爪が割れたりしますが、しかしながらここまで来るのはかなりまれです。



※関連コラム >>貧血とビタミン・ミネラル



ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄には大きく2種類あってポリフィリンと呼ばれるたんぱく質に囲まれる形で存在するヘム鉄と、それ以外のたんぱく質と結合している非ヘム鉄があります。ヘム鉄は小腸に特有のヘム鉄受容体があるので吸収率が高いのが特徴です。



一方非ヘム鉄はいったん胃酸でイオン化された後、酵素の働きで三価鉄から二価鉄へと還元された後、小腸の二価金属輸送たんぱく質(DMT1)から吸収されます。このように段階を経て吸収されるため非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率が劣ります。ヘム鉄と非ヘム鉄については詳しくは鉄分の種類、ヘム鉄と非ヘム鉄、貯蔵鉄と機能鉄の違いでも解説しています。



エネルギー代謝に関与

鉄は生体活動に必要なエネルギー源であるATPの生成に関わる酵素の構成成分としてエネルギー代謝に関わります。栄養素である糖質、脂質、たんぱく質はそのままでは体内でエネルギーとしては利用できません。このため様々な代謝過程を経てそのエネルギーをATP(アデノシン3リン酸)という形に変える必要が出てきます。

ATPの生成では解糖系やクエン酸回路、脂肪酸のβ-酸化などの代謝過程でまず水素が放出されます。この水素はエネルギーを多く含んでいて(正確には水素内の電子)、この水素をまずはナイアシン(NAD:ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)やビタミンB2(FAD:フラビン・アデニンジ・ヌクレオチド)が受け取り、NADHとFADH2となって水素をミトコンドリアの内膜にある電子伝達系へと運びます。

電子伝達系内ではNADHはNAD+とH+と2つの電子に、FADH2はFADと2H+と2つの電子に分かれます。この電子が電子伝達系ないの3つの複合体を経由する際にエネルギー源であるATPが生成されます。鉄はこの複合体の構成成分であるシトクロムとして電子伝達系の働きに関与します。鉄分が含まれるのは複合体3と複合体4です。シトクロムは鉄分を内部に含みヘム構造を持つたんぱく質です。鉄分はこのように電子伝達系でのATPの生成において非常に重要な役割を担っているのです。エネルギー代謝については疲労とビタミン、エネルギー代謝とビタミンで詳しく解説しています。






筋収縮に関与

筋細胞内にあり筋収縮に必要な酸素を貯蔵、輸送するミオグロビン中にも3〜5%の鉄が含まれています。ミオグロビンはヘモグロビン以上に酸素との結合力が高いのが特徴で、ヘモグロビンから酸素を受け取り筋肉内で貯蔵しています。



肝臓の解毒作用に関与

肝臓は体外から侵入した毒物を分解する働きがあります。この分解を担うのが「P-350」と言う酵素です。鉄は多くの酵素の含有成分としてその働きに関わりますがこの酵素の中にも鉄は含まれています。P-350がしっかりと働くためにも鉄は重要なのです。



活性酸素の除去に関与

活性酸素とは本来は体に必要なもので、体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃する働きがあります。しかしながら活性酸素が増えすぎると正常な細胞にも攻撃をし始めてしまいます。増えすぎた活性酸素は活性酸素除去酵素により取り除かれます。鉄は活性酸素除去酵素の一つであるカタラーゼやスーパーオキシドジスムターゼの構成成分としてその働きに関与します。活性酸素について詳しくは老化の原因、活性酸素とはで解説しています。



鉄分の1日の推奨量、上限量

鉄分の男性の推奨量は成長期に特に増加し、12〜14歳でピークとなりその推奨量は1日11.5咾箸覆蠅泙后その後徐々に減少していき18〜29歳では7.0咾箸覆蠅泙后女性も成長期に特に鉄分の推奨量が増え10〜14歳までの期間が7.0咾蛤任眤燭なります。18〜29歳にになると推奨量は6.0咾砲泙撚爾ります。

女性の場合は月経血による鉄分の対外流出もあるため、月経中の女性はその推奨量が成人女性で6.0咾ら10.5咾泙脳緇困靴泙后10〜14歳では月経時は14.0咾箸なりの鉄分の摂取が推奨されています。

鉄分は過剰症の心配もあるので耐用上限量も定められています。その量は成人男性で50咾農人女性で40咾任后3毒代の詳しい推奨量、上限量については鉄分の食事摂取基準、一日の必要量、推奨量、上限量は?で解説しています。



鉄分が不足しやすいのは?

鉄分は成長期に特に需要が増加します。この時期は鉄分をしっかりととることが大切です。無理なダイエットなどは厳禁です。女性は月経時には特に需要が増えるので欠乏には注意が必要です。また妊婦も胎児の成長や授乳に鉄分の需要は多くなります。鉄分は主に血液に存在しているため、けがによる大量出血や消化管内の潰瘍やポリープからの出血も鉄分欠乏の大きな要因となります。こうした方は鉄分の補給に努めるとともに病気やけがの回復をはかることも大切です。



鉄分の主な欠乏症は?

鉄分の欠乏症としてもっとも代表的なものは鉄欠乏性貧血です。体内のヘモグロビン量が減少して酸素運搬能力が低下するため疲れやすくなったり、動悸や息切れといった症状が現れます。このほか鉄欠乏症には免疫力の低下や体温調節不全、知能発育障害、妊娠への影響、爪が両端から反り返るスプーン状爪といった症状も見られます。鉄分の欠乏症については鉄分欠乏症・過剰症、鉄欠乏性貧血とはでも詳しく解説しています。



鉄分を過剰摂取した場合は?

通常の食生活なら鉄分を過剰に摂取することはほぼありません。サプリメントや錠剤の誤った利用の仕方により過剰摂取に至ることはあります。この場合肝臓、膵臓、皮膚などに鉄分の沈着が見られ、進行すると肝硬変、糖尿病、青銅肌などをきたすこともあります。



鉄分が多く摂れる食品

吸収率は非ヘム鉄よりもヘム鉄の方がいい


鉄分には様々な効果や効能、働きがあることを説明しましたが、こうした鉄分を食品から効率的に取るにはどのような食品がおすすめなのでしょうか。まず動物性食品には体内の吸収率が15〜20%と高いヘム鉄が多く含まれます。いっぽう植物性食品には吸収率が2〜5%とヘム鉄には劣る非ヘム鉄が多く含まれます。このため動物性食品で鉄分の多い食品がより効率的に鉄分を摂取できる食品であるといえます。


魚や貝、肉類に多い


動物性食品で鉄分が多いのは魚類や貝類、肉類などです。特に骨やからまで丸ごと食べられる干しエビやどじょう、あゆなどには鉄分が多く含まれます。他にもたにしやめざし、煮干し、赤貝、ほっきがい、ほやなどにもたくさんの鉄分が含まれます。肉類では豚や鶏よりも牛肉に鉄分は多く多く含まれます。特に赤身の部分に多いです。レバーはビタミンA(レチノール)の取りすぎの問題もあるため摂取するなら豚や鶏ではなく牛のレバーがいいでしょう。卵黄にも多く含まれます。鉄分の多い食品については鉄分の多い食品・食べ物と含有量一覧でも詳しく解説しています。


植物性食品で鉄分の多い食品


吸収率は動物性食品には劣りますが青のりや岩のり、干しヒジキといった藻類にも鉄分は多く含まれます。バジルやパセリといった粉末にも100g当たりの含有量が非常に多いことから少量でもたくさんの鉄分が摂取できます。植物性食品はビタミンCと一緒に摂取することで鉄分の吸収率を高めることができます。






参考文献
医療従事者のための機能性食品
「ビタミン伝説」の真実
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ
基礎栄養学 スタンダード栄養・食物シリーズ
基礎栄養学第3版 スタンダード栄養・食物シリーズ
基礎栄養学
サプリメントデータブック
よくわかる栄養学の基本としくみ
身体に必要なミネラルの基礎知識
栄養・健康科学シリーズ生化学
よくわかる生理学の基本としくみ
わかりやすい生化学
栄養科学シリーズNEXT生化学
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最終更新日 2016/10/22
公開日 2007/08/05






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