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亜鉛の効果・効能




亜鉛の効果・効能の概要

亜鉛は体内で様々な働きをします。生命の維持には欠かせない細胞分裂において遺伝情報の転写やDNA、RNAの合成には亜鉛は欠かせません。亜鉛は味覚機能の維持を担う味細胞の構成成分でもあり、体内で活性酸素を除去する活性酸素除去酵素の構成成分でもあります。

また生殖機能の維持や体外から侵入した細菌やウイルスを攻撃するT細胞やNK細胞の活性にも亜鉛は必要となります。血糖値を下げるインスリンの構成成分であり、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素の構成成分でもあります。このように亜鉛の効果や効能は多岐にわたります。ここでは亜鉛の効能について一つ一つ詳しく解説していきます。さらに亜鉛の吸収と排泄、亜鉛の1日の必要量、亜鉛の多い食品などについても取り上げます。

亜鉛の効果、効能一覧



亜鉛の発見の歴史

金属元素である亜鉛は英語ではzinc、ドイツ語ではzinkと表記されます。このzinkという言葉はもともとはドイツ語の金属を意味するzink(e)から来ています。日本では江戸時代中期に漢方医である寺島良安がその見た目が鉛に似ていることから亜鉛と命名したという説があります。

亜鉛の存在自体は古代から知られていて、古代ローマの博物学者であるプリニウスが外傷や目のただれに亜鉛化合物を用いていたと記述されています。また亜鉛と銅の合金である真鍮(しんちゅう)も紀元前から利用されてきました。亜鉛という言葉を最初に用いたのはスイスのパラケルスス(16世紀)で、当初のその意味は銅の粗悪品というものでした。亜鉛が単体で分離されるようになったのは18世紀にヘンケルらによってです。

亜鉛が生物にとって欠かせない栄養素であると発見されたのは20世紀に入ってからです。まずは1922年の動物実験でその必須性が示され、1934年には亜鉛欠乏食による動物実験により亜鉛の欠乏症が確認されています。人間では1961年にイラクとイランにおいて亜鉛欠乏による小人症が発見されたのが、必須性が示された最初の報告です。



多くの酵素の組成に必要

亜鉛は多くの酵素に含まれる


酵素は体内での合成や分解などの化学反応には欠かせないもので、亜鉛はその内約200種類の酵素の組成に必要になります。亜鉛が含まれる酵素から亜鉛を取り除くと酵素の活性が低下し、再び元に戻すと活性を取り戻すことから、亜鉛が各種酵素の働きに関与しているものと考えられています。亜鉛が不足すれば多くの酵素の働きにも影響するため様々な欠乏症が生じます。

亜鉛を含む酵素の代表的なもの


亜鉛が含まれる酵素の働きで現在わかっているものには、成長維持、中枢神経系への関与、味覚への関与、皮膚・骨などの機能維持、糖代謝、たんぱく質の合成、免疫システムへの関与、インシュリンをはじめとするホルモン分泌との関与などがあげられます。酵素を含む代表的な亜鉛結合タンパク質とその働きについて以下の表で紹介します。

酵素・たんぱく質名作用
メタロチオネイン重金属補足・解毒
カルボキシペプチダーゼたんぱく質分解
サーモリシン内部ペプチド結合の加水分解
アルコール脱水素酵素アルコール代謝
アルカリフォスファターゼリン酸モノエステル加水分解
炭酸脱水素酵素炭酸代謝(血中のpH調整)
DNAポリメラーゼDNA合成
RNAポリメラーゼRNA合成
Cu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼスーパーオキシド消去
細胞外スーパーオキシドジスムターゼスーパーオキシド消去

※関連コラム  >>酵素について1



細胞分裂に関与

亜鉛は構造維持に働く


亜鉛は構造維持の働きもあります。亜鉛は4つの結合手を持っていて、それによりたんぱく質やRNAなどを結び付けて立体構造を構築する働きがあります。このような構造をジンクフィンガーといいます。ジンクは亜鉛のことで、フィンガーは手を意味します。亜鉛が欠乏するとたんぱく質の立体構造の維持がしづらくなり、分解されやすくなります。

遺伝情報の転写の調節に関与


遺伝情報はDNAに格納されていて、その遺伝情報をメッセンジャーRNAがたんぱく質合成の場であるリボソームまで届け、その情報をもとにリボソームで各種たんぱく質が作られます。DNAやRNAについてはくわしくは核酸とは何か、DNA、RNAの違いについてで解説しています。

ジンクフィンガーは転写の過程でその調節に関わる転写調節因子(ステロイドホルモンの受容体、ビタミンA、ビタミンDの受容体)の中に存在しています。遺伝子のうち8%はこの転写因子により調節されているといわれています。転写因子がDNAと結合すると細胞分裂が行われます。亜鉛が不足するとDNAの複製にも影響がでるため細胞分裂も正常に行われなくなってしまいます。このようなことから亜鉛は体内でも細胞分裂が活発な部位に多く存在します。

亜鉛の体内分布


体内に存在する亜鉛の量は体重70kgで2.5gになります。体内に含まれる亜鉛の60%は筋肉に含まれ、25%は骨に、残りは血液中や肝臓、前立腺などに含まれます。血液の亜鉛の内訳は80%が赤血球に10〜20%が血清中に、3%が血小板や白血球に含まれます。

体内の亜鉛分布の割合

核酸の合成に関与


核酸にはDNAとRNAがあり、DNAは遺伝情報を格納し、RNAは遺伝情報の伝達やたんぱく質の合成などに働きます。DNAの複製においてDNAが伸長していく過程がありますが、その際にその働きを活性化させる酵素としてDNAポリメラーゼがあります。またRNAの合成に関してもその働きを活性化させる酵素であるRNAポリメラーゼがあります。亜鉛はこの2つの酵素を活性化させる働きにより、DNAとRNAの合成に関与します。



味覚機能の維持

味覚は主に舌の粘膜に9000個ある味蕾(みらい)と呼ばれる細胞の中にある味細胞が担っています。味細胞が味を受容し、その刺激を味覚神経へと伝達することで味を感じているのです。味細胞は新陳代謝が活発で30日で新しい細胞にうまれかわります。味細胞には亜鉛が多く含まれていて亜鉛が不足すると味細胞の形成にも支障が出てきて味覚障害へとつながります。

味覚障害も初期の段階なら亜鉛の補給で改善しますが、長期に渡ると味細胞が完全に壊れてしまうので、亜鉛不足に起因する味覚障害では早期の対応が重要となります。

味を感じるまでの流れ



抗酸化作用

活性酸素は増えすぎると問題あり


亜鉛は活性酸素を除去するSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる活性酸素除去酵素の構成成分であり抗酸化作用にも大きく関わります。活性酸素とは本来体に入ってきた細菌やウイルスなどを攻撃して体を守ってくれる必要な物質なのですが、増えすぎると今度は正常な細胞にまで攻撃をしてしまいます。

活性酸素除去酵素の働き


体内には活性酸素が増えすぎた場合に、活性酸素を除去する様々な種類の活性酸素除去酵素が存在します。スーパーオキシドディスムターゼも活性酸素除去酵素の一つです。SODは活性酸素の一つであるスーパーオキシドアニオンが水素イオンと反応して過酸化水素が生成されるのを触媒し、スーパーオキシドアニオンの消去に働きます。

※関連コラム  >>老化の原因、活性酸素とは



生殖機能の維持

亜鉛は精液をつくる前立腺や精子、男性ホルモンのテストステロンをつくる精巣に多く存在していて、精子・精液や男性ホルモンの生成に関係しています。また脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの分泌にも関与しています。性腺刺激ホルモンは精子や男性ホルモンの分泌を促進します。そのため亜鉛が不足すると精液や精子の減少、男性ホルモンの減少、前立腺肥大、勃起障害、性腺の発育不全などの症状があらわれます。

亜鉛と性機能の関係

また性腺刺激ホルモンは女性では女性ホルモンのエストロゲンの分泌促進や排卵にも関係しているので、亜鉛の不足が生理不順などの原因となることもあります。



成長に欠かせない

活発な細胞分裂に亜鉛は必要


亜鉛は細胞分裂には欠かせないミネラルです。細胞分裂は成長期に盛んに行われます。胎児期に妊婦の亜鉛の血中濃度を計測すると胎児の成長に伴って激減することが知られています。それだけ胎児は多くの亜鉛を必要としているのです。乳児や成長期の子供も正常な発育を促すためは十分な亜鉛が必要となります。

欠乏症の発見も子供の成長遅延から


もともと亜鉛の欠乏症の発見も子供の成長遅延がきっかけです。1961年にイランで成長遅延の子供が多く見られ、調べてみたところ亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸を多く含む食生活をしていたのが原因だとわかりました。その後亜鉛を摂取させたところ症状は改善しました。



アルコール代謝

体内でのアルコール(エタノール)の代謝はまずアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)によりアセトアルデヒドに転換され、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素により無害な酢酸へと代謝されます。亜鉛はアルコール脱水素酵素の構成成分としてアルコールの代謝に関わります。不足するとアルコール分解にも影響が出ます。



免疫機能の維持

亜鉛には免疫の主役となるT細胞やNK細胞の働きにも関係しています。T細胞は胸腺ホルモンのチムリンによって活性化しますがこの亜鉛はこのチムリンに関与していることがわかっています。亜鉛を摂取することで風邪を引きにくくなるという報告も数例あるようです。

※関連コラム >>免疫について1



血糖値の維持

亜鉛はインスリンの構成成分として血糖値の維持にも関与します。血糖値を上げるホルモンは各種ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみです。インスリンは筋肉細胞の生体膜にスイッチを入れ、血糖を取り込み、血糖値を下げる働きがあります。このため亜鉛が欠乏すると耐糖能が下がるとされています。耐糖能とは血糖値を一定の範囲内に収めるよう調節する能力のことです。



亜鉛の吸収と代謝

食品中の亜鉛の吸収率


食品中に含まれる亜鉛はアミノ酸、リン酸、有機酸などと結合し、小腸(主に空腸や十二指腸)で吸収されます。腸管での吸収率は約33%(20%〜70%)で、摂取量によって変化します。ある調査では亜鉛の1日の摂取量を30mg/日から7mg/日に減らすと、吸収率が21%から47%に上昇したと報告しています。

亜鉛の摂取量と吸収率の関係

腸管での吸収


腸管での亜鉛の吸収には二つの経路があります。一つは受動輸送の拡散による経路です。拡散とは濃度の高い方から濃度の低い方へと輸送されるもので、エネルギーを必要としません。もう一方は運搬体(キャリア)によってはこばれる経路です。亜鉛の腸管での濃度が高い場合は拡散により吸収され、低い場合は運搬体での輸送により吸収されると考えられています。亜鉛の吸収の大部分は運搬体が関与しています。

腸管から血漿、各種組織へ


吸収された亜鉛は腸壁内ではメタロチオネインやCRIP(システインリッチ腸たんぱく質)などと結合した形で存在し、そこから血漿中へと入り、アルブミン、α2-マクログロブリン、アミノ酸(ヒスチジンやシステイン)、フィブリノーゲン、ポルフィリンなどと結合して各種細胞や組織へと運ばれます。

亜鉛の腸管から血漿、各種細胞までの吸収過程

亜鉛の排泄


亜鉛は主に腸管内で吸収されなかった亜鉛や腸管粘膜の脱落、膵臓から膵液として腸管へと分泌されたものが糞便中へと移行して排泄されます。尿中への排泄は糞便中への排泄と比べると10分の1以下と少ないです。体外へはそのほか精液、月経を通しても排出されます。

亜鉛の吸収を阻害するもの


亜鉛の吸収はフィチン酸、シュウ酸、食物繊維、EDTA、ポリフェノールなどにより阻害されます。



亜鉛の体内分布

亜鉛は体内で成人男性では2.5g、成人女子で1.5g程度含まれているといわれてみます。亜鉛はその95%以上が細胞内に存在し、たんぱく質などの高分子と結合していると考えられています。主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布していて、85〜90%は筋肉と骨に存在しています。



亜鉛の1日の推奨量、上限量は?

日本食事摂取基準では亜鉛の1日の推奨量は年齢とともに増加していき成人男性では10咾法∪人女性では8咾棒瀋蠅気譴討い泙后また妊娠女性ではさらに1日2mg、授乳中なら1日3啾燭摂取することが求められます。亜鉛は通常の食生活なら過剰症が発生することはありませんが、サプリメントなどで大量に摂取した場合には過剰症が発症することもあります。そのため耐用上限量についても定められています。成人男性は40咫∪人女性は35咾亜鉛の耐用上限量です。亜鉛の各年代の推奨量、上限量については亜鉛の食事摂取基準、一日の必要量、推奨量、上限量は?で解説しています。

亜鉛の1日の推奨量



亜鉛の多い食品

亜鉛を摂取しやすいのは魚介類と肉類


亜鉛にはこのような効果・効能がありますが、こうした働きのある亜鉛はどのような食品に多く含まれているのでしょうか。肉類や魚介類などに多く含まれます。これら食品は食事としての量も摂りやすいので亜鉛の摂取には最適な食品です。100g当たりの亜鉛の含有量で見ればゴマやヒマワリの種などの種実類やノリなどの藻類、卵の黄身や抹茶などにも多く含まれますが、これらは食事として一度にとれる量が限られているのでそれほど多くの亜鉛を摂取することはできません。

魚介類ならかきが特に亜鉛が多い


魚介類ではかきが特に多くの亜鉛が摂取できます。かきはなんと5個食べるだけで成人男性の1日の推奨量を満たすことができます。ほかにもあかにやほや、たにしやするめといった食品にも多くの亜鉛が含まれます。

亜鉛が豊富な牡蠣

肉類なら牛肉が特に亜鉛が多い


肉類では豚肉や鶏肉よりも牛肉に多くの亜鉛が含まれます。牛ひれ肉、牛かた肉、牛もも肉など各部位で多くの亜鉛を摂取することができます。牛肉の加工食品であるビーフジャーキーやコンビーフ、ローストビーフなどにも亜鉛は多く含まれます。ビーフジャーキーは塩分も多いので摂りすぎには注意が必要です。亜鉛の多い食品については詳しくは亜鉛の多い食品、食べ物と含有量一覧で詳しく解説しています。

牛ひれ肉は亜鉛が豊富






参考文献
医療従事者のための機能性食品
医療従事者のためのサプリメント・機能性食品事典
「ビタミン伝説」の真実
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ改訂第5版
基礎栄養学 (スタンダード栄養・食物シリーズ)第3版
サプリメントデータブック
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栄養の基本がわかる図解事典
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身体に必要なミネラルの基礎知識
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最終更新日 2016/12/31
公開日 2004/02/08








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