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脂質の代謝2


はじめに

前回は食事によって摂取する脂質(トリアシルグリセロール)の代謝について、小腸で吸収され、トリアシルグリセロールに再合成され、リポタンパク質に取り込まれてリンパ管から静脈へと輸送されるまでを見ていきました。今回はそこから先の代謝の流れと、食事ではなく体内で合成される脂質の代謝の流れについて見ていきます。


外因性(食事性)脂質の代謝

静脈まで来たリポタンパク質であるキロミクロンは血中で同じくリポタンパク質であるHDLから、リポタンパク質リパーゼの補酵素であるアポリポタンパク質C-兇抜梁,房茲蟾まれる際に必要となるアポリポタンパク質Eが転移されます。キロミクロンは骨格筋や心臓、脂肪組織などの毛細血管を巡る過程で、リポタンパク質リパーゼによりグリセロールと遊離脂肪酸に加水分解され組織に取り込まれます。組織に取り込まれた遊離脂肪酸は骨格筋や心臓ではエネルギーとして利用され、脂肪組織ではトリアシルグリセロールとして貯蔵されます。細胞に直ちに取り込まれない遊離脂肪酸は、血清アルブミンと結合して循環します。

リポタンパク質リパーゼの作用を受けてトリアシルグリセロールの量の約90%が消失し、アポC-兇HDLへと戻されたキロミクロンはキロミクロンレムナント(Remnant=残骸)と呼ばれます。キロミクロンレムナントは肝臓にあるアポE受容体と結合して肝臓に取り込まれ代謝されます。


CM = キロミクロン、MP = マクロファージ、CE = コレステロールエステル、PL = リン脂質


内因性脂質の代謝

脂肪酸を材料に肝臓で作られるトリアシルグリセロールやコレステロール、アポリポタンパク質B-100などからリポタンパク質であるVLDL(超低密度リポタンパク質)が生成されます。VLDLもキロミクロンと同様血中でHDLからアポC-兇肇▲Eの転移を受けます。VLDLは骨格筋や脂肪組織などの末梢組織に輸送され、リポタンパク質リパーゼにより遊離脂肪酸とグリセロールに分解され、遊離脂肪酸は各組織に取り込まれます。こうしてトリアシルグリセロールの少なくなったVLDLレムナントはIDL(中間密度リポタンパク質)と呼ばれます。IDLは後で述べますがHDLの作用を受けてコレステロール量が増加し、コレステロール量の多いLDL(低密度タンパク質)となります。LDL中のアポB-100とアポEが末梢組織のLDL受容体と結合して取り込まれ、そこで遊離コレステロールや脂肪酸、アミノ酸などに分解されます。その他の血中を巡回するLDLは肝臓のLDL受容体と結合して肝臓に取り込まれ代謝されます。

VLDLは肝臓で合成されるトリアシルグリセロールの運搬体なので、肝機能が低下するとアポタンパク質やその他の構成成分の生成が滞り、結果肝臓にトリアシルグリセロールが蓄積して脂肪肝などを引き起こす原因となります。


コレステロールの回収

肝臓や一部小腸でも作られる脂質含量の少ないリポタンパク質であるHDL3(高密度リポタンパク質)は小粒子で円盤状の形状をしています。HDL3はHDL3の表面にあるレシチン-コレステロールアシル基移転酵素(LCAT)の働きにより、末梢組織からコレステロールをHDL3表面のレシチンの脂肪酸に移してコレステロールエステルを作ります。コレステロールエステルは次第にHDL粒子の中心部に集り、球状でサイズの大きいHDL2となります。HDL2は血中でコレステロールエステル輸送タンパク質(CETP)の作用を受け、コレステロールエステルをIDLやLDLへと移し、LDLが肝臓に取り込まれて肝臓で胆汁酸へと変換され必要量は再利用されそれ以外は体外に排出されます。

コレステロールの回収には肝臓にあるSR-B1というHDL受容体とHDLが結合して取り込まれるという経路もあります。このようにコレステロールが末梢組織から肝臓へと送られる経路をコレステロール逆転送系といいます。


悪玉・善玉コレステロールとは

コレステロールを多く含むLDLの量が多くなり、末梢組織に取り込まれずに残ったものが活性酸素と反応すると、酸化され酸化LDLになります。酸化LDLは末梢組織のLDL受容体と結合することはできず、マクロファージによって貪食されます。コレステロールを多く含むマクロファージは血管壁などに沈着して動脈硬化の発症の一員となります。本来ならコレステロールは体内に必要な物質ですが、このような理由からLDLに含まれるコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれます。悪玉と呼ばれていても特別悪いわけではなく、LDLが酸化された場合に問題が出てくるというわけです。

LDL量が増加

活性酸素により酸化LDLへ

マクロファージが酸化LDLを貪食

マクロファージが血管壁に沈着

動脈硬化発症の一因に

一方HDLは末梢組織や血管壁に沈着したマクロファージからコレステロールを回収し肝臓へと輸送する働きがあります。このためHDLに含まれるコレステロールを善玉コレステロールといいます。






参考文献
基礎栄養学 (スタンダード栄養・食物シリーズ)第3版
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ
栄養・健康化学シリーズ 生化学
よくわかる栄養学の基本としくみ
有機化学 (わかる化学シリーズ)


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text by 2014/03/20






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