ビタミネ





HOME >> ビタミンTOP >> 水溶性ビタミン >> 葉酸の吸収と代謝、食品とサプリメントの吸収率の違い
サイトマップ

葉酸の吸収と代謝、食品とサプリメントの吸収率の違い




はじめに

今回は葉酸が体内でどのように消化吸収されていくのかについてみていきます。吸収と代謝を見る前にまずは葉酸について解説します。葉酸はプテロイルグルタミン酸とも呼ばれプテリジンとパラ(p-)アミノ安息香酸、グルタミン酸が結合した化合物です。

プテロイルモノグルタミン酸の構造式

グルタミン酸が一つ結合したものをプテロイルモノグルタミン酸といい、複数結合したものをプテロイルポリグルタミン酸といいます。食品中に含まれる葉酸の大半はこのプテロイルポリグルタミン酸に酵素たんぱく質が結合した状態で存在しています。



葉酸は小腸で吸収される

食品中に含まれる葉酸は調理や加工により酵素たんぱく質と遊離します。また体内でも胃酸環境下で酵素たんぱく質と遊離します。次に小腸の一部である空腸の刷子縁膜(さっしえんまく)にある葉酸コンジュガーゼと呼ばれる酵素によりプテロイルモノグルタミン酸へと変換されます。

小腸粘膜細胞内に取り込まれたプテロイルモノグルタミン酸は還元されジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸となり、さらにメチル化されてメチルテトラヒドロ葉酸となります。還元とはここでは水素を与える反応のことです。まず二つの水素が与えられてジヒドロ葉酸となり、さらに二つの水素が与えられてテトラヒドロ葉酸となります。「ジ」や「テトラ」というのは数詞のことで、ジは2つ、テトラは4つという意味です。メチル化というのはプテロイルモノグルタミン酸の水素の一部がメチル基(-CH3)と入れ替わる反応のことです。葉酸はこうして受け取ったメチル基などをほかの物質に受け渡すことで様々な生理反応と関わります。

メチルテトラヒドロ葉酸は葉酸輸送たんぱく質(FBP)と結合して血管内を輸送され、各細胞組織まで運ばれます。このため血漿中の葉酸は主にメチルテトラヒドロ葉酸となります。

葉酸の吸収過程



細胞内での葉酸の代謝

各細胞組織に取り込まれた葉酸はまずは葉酸輸送たんぱく質が遊離し、さらにメチオニン合成酵素により脱メチル化されテトラヒドロ葉酸となります。テトラヒドロ葉酸はポリグルタメート合成酵素により再びポリグルタミン酸型のテトラヒドロ葉酸となり細胞内で保持されます。



ビタミンB12も必要

葉酸は吸収されて各細胞組織に取り込まれるとメチルテトラヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸へと変換されますが、この際にメチオニン合成酵素が必要となります。このメチオニン合成酵素が働くためにはビタミンB12が必要となります。もしビタミンB12が不足してメチオニン合成酵素の働きが滞ると、メチルテトラヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への変換にも影響が出ます。

テトラヒドロ葉酸はその後DNAであるdUMP→dTMPの合成にも関わります。この合成が滞ると巨大な赤血球が作られ貧血症状を引き起こす巨赤芽球性貧血を発症します。葉酸がしっかりと働き正常な赤血球を作るためにもビタミンB12も必要となるわけです。葉酸は植物性食品に多く、ビタミンB12は動物性食品に多く含まれます。どちらか一方に偏るのではなく、バランスのいい食事が大事です。

葉酸の代謝経路



サプリメントに含まれる葉酸の吸収

これまでは食品中に含まれるプテロイルポリグルタミン酸の吸収の過程についてみてきましたが、サプリメントなどの栄養補助食品に含まれる葉酸の吸収についてもみていきます。サプリメントに含まれる葉酸は主にプテロイルモノグルタミン酸です。サプリメントに含まれる葉酸はすでにモノグルタミン酸なので、胃酸や空腸なのでポリグルタミン酸からモノグルタミン酸への変換を経る必要がありません。そのため生体内での利用効率も食品中の葉酸が平均して50%なのに対し、その率は85%と約1.7倍高いのが特徴です。



サプリメントの葉酸を摂取する際の注意点

本来葉酸が体内でしっかりと働くためにはビタミンB12が必要なことはすでに述べました。メチルテトラヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸の変換にメチオニン合成酵素が必要で、メチオニン合成酵素にはビタミンB12が必要だからです。しかしながらサプリメントに含まれるプテロイルモノグルタミン酸は一定量を超すとそのままで細胞に取り込まれます。そのままメチル化することなくジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸となり、プテロイルポリグルタミン酸となるわけです。

ビタミンB12が必要なメチオニン合成酵素がなくてもテトラヒドロ葉酸となることができるので、ビタミンB12が仮に不足したとしても巨赤芽球性貧血の発症を抑えることができてしまうのです。これは何が問題なのかというと、ビタミンB12の欠乏症の中でも巨赤芽球性貧血は比較的まだ症状の軽いものです。ビタミンB12の欠乏が深刻になるとより重篤な神経疾患症状を発症します。ようはビタミンB12の欠乏の早期発見を見逃してしまうのです。

ビタミンB12は動物性食品に多く含まれていて、通常の食生活であれば欠乏は稀ですが、ベジタリアンなどは不足に注意が必要です。これにさらに葉酸でのサプリメントの過剰摂取が重なるとビタミンB12欠乏症が深刻になってから発見されるという事態にもなりかねないわけです。ビタミンB12の多い食品についてはビタミンB12の多い食品・食べ物と含有量一覧で詳しく解説しています。

食品とサプリメントの葉酸の代謝過程






参考文献
医療従事者のための機能性食品事典
サプリメントデータブック
栄養学の基本がわかる事典
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉
よくわかる栄養学の基本としくみ






ページTOPへ
公開日 2016/08/08






水溶性ビタミン









since 2003/07/21
Copyright(C)2003 kain All Rights  Reserved