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葉酸過剰症、過剰摂取で見られる症状




葉酸の過剰症について

葉酸は通常の食生活であれば過剰摂取により健康障害が発生したというような報告はありません。しかしながらサプリメントなどで見られるプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸では過剰摂取により神経障害などの健康障害が見られること報告されています。



プテロイルモノグルタミン酸とは

プテロイルモノグルタミン酸とは葉酸の一種で、葉酸にはこのほかプテロイルポリグルタミン酸などもあり、食品などに含まれる葉酸の多くはこのプテロイルポリグルタミン酸です。プテロイルポリグルタミン酸は小腸でプテロイルモノグルタミン酸に変換されて吸収されます。サプリメントに含まれる葉酸は、最初からこのプテロイルモノグルタミン酸の形の葉酸なのです。

ここでいう「ポリ」や「モノ」というのは数を表す数詞のことでポリはたくさん、モノは一つという意味です。プテロイルモノグルタミン酸はグルタミン酸が一つ付いた化合物で、プテロイルポリグルタミン酸はグルタミン酸が複数付いた化合物です。葉酸の種類については詳しくは葉酸の構造と種類で解説しています。



ビタミンB12欠乏症を覆い隠してしまう

ではプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸を過剰摂取したことで生じる健康障害についてみていきます。まずひとつは巨赤芽急性貧血のマスキング効果です。これはどういうことかというと本来巨赤芽急性貧血は葉酸の欠乏だけでなくビタミンB12の欠乏でも起こる症状です。しかしながらプテロイルモノグルタミン酸を過剰に摂取するとビタミンB12が欠乏していても巨赤芽急性貧血が発症しないのです。

ビタミンB12の欠乏症の中でも巨赤芽急性貧血はまだ症状が軽いほうで、欠乏が進行するとより重篤な後外側脊髄変性などの神経障害を発症してしまいます。このようにビタミンB12欠乏の早期発見につながる巨赤芽急性貧血の症状を覆い隠す(マスク)してしまうのがプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸の過剰摂取による健康障害の一つです。



本来の葉酸の働きに拮抗してしまう

サプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸は体内でジヒドロプテロイルモノグルタミン酸に変換されますが、過剰摂取によりこのジヒドロプテロイルモノグルタミン酸が次の3つの補酵素の活性を阻害するように働くと考えられています。阻害される補酵素とその補酵素の働きは以下の通りです。

補酵素名 作用
チミジン酸シンターゼ DNAの一つであるdTMPの生成を促進
ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミドトランスホルミラーゼ DNAの構成成分であるプリン塩基の生成の促進
メチレンテトラヒロド葉酸還元酵素 メチレンテトラヒドロ葉酸の生成の促進

メチレンテトラヒドロ葉酸は動脈硬化と関係の深いホモシステインをメチオニンへと変換する際に必要となるメチル基を提供するもので、この生成が滞るとメチオニンへの変換も影響を受けることになります。本来DNAの合成やホモシステインからメチオニンへの変換は葉酸の主な働きの一つで、プテロイルモノグルタミン酸型の葉酸を過剰摂取するとこうした反応を抑制する方向に働いてしまうと考えられているわけです。



上限値はプテロイルモノグルタミン酸に対して

日本食事摂取基準では葉酸摂取の上限量が定められていますが、この数値はサプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸を摂取した場合のものです。プテロイルモノグルタミン酸型の葉酸には上記のような過剰摂取による健康障害が報告されているため、上限値が定められているわけです。



葉酸の上限量算定の根拠

では実際日本食事摂取基準では上限量はどのように設定されているのでしょうか。上限量を算定するに当たり参考としたのはアメリカとカナダでの調査報告です。これによると受胎前後3ヶ月以上の間、妊娠可能な女性に対して0.36〜5mg/日のプテロイルモノグルタミン酸を投与したところ、神経障害の発症は見られなかったと発表しています。

このことから最大値の5mgを健康障害非発現量と定め、UF(不確実係数)を5としてUFで割り、1日の上限量として18〜29歳の女性は900μg、30〜69歳の女性は1000μgと定めています。男性に関しては調査報告自体が女性に限られているため、女性の数値をそのまま採用しています。

年齢 上限量
18〜29歳 900μg
30〜69歳 1000μg
70歳以上 900μg






参考文献
サプリメントデータブック
日本人の食事摂取基準〈2010年版〉
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉









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公開日 2016/05/07






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