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葉酸と妊婦、妊娠や胎児の成長に必要な量は




妊婦の貧血が発見の契機

もともと葉酸はアメリカの生理学者のウィルスが妊婦の貧血症状を分析したところ、抗貧血因子として発見したのが始まりです。当初から妊婦の貧血との関わりで注目されてきた葉酸ですが、実際葉酸と妊婦についてどのような関係があるのかついて詳しく見ていくことにします。



葉酸は胎児の成長に必要

細胞内には核があり、核の中にはDNAやRNAなどの核酸が含まれています。この核酸の働きにより遺伝情報を保持し、遺伝情報に基づき新たに細胞を作り出します。このようにして細胞は分裂、成長していきます。詳しくは核酸とは何か、DNA、RNAの違いについてで解説しています。

葉酸はこの核酸の構成成分である塩基と呼ばれる成分のアデニンやグアニン、チミンなどの成分の合成に関与します。具体的には葉酸はメチル基やホルミル基、メチレン基といった基を他の化合物から受け取り、アデニンやグアニン、チミンなどに届けることで核酸の合成に関わります。

妊娠時には胎児が活発に細胞分裂を繰り返し成長していきます。この分裂・成長に欠かせないのが核酸でそのために必要なのが葉酸なのです。通常成人女子の葉酸の推奨量は240μgに設定されています。これが妊娠時にはさらに240μg加算されます。通常の倍の量の葉酸を摂取することが推奨されているのです。妊娠時は胎児の成長のために妊婦の葉酸の必要量が非常に多くなるわけです。

葉酸の食事摂取基準



授乳中も葉酸は多めに摂取

出産後の授乳期も葉酸は通常の摂取量より多めに摂取することが求められます。授乳婦は赤ちゃんにしっかりと栄養を与えるために母乳中にもたくさんの栄養分が含まれています。葉酸もそのうちの一つです。そのため母乳として体外に流出する分、通常時よりも多めに葉酸を摂取しなければなりません。母乳として体外に流出する量を計算し、その量を食品から摂取するために推定平均必要量に付加量としてプラス80μg、推奨量としてプラス100μg摂取することが求められます。合計すると通常の推奨量である240μgと付加量の100μgで340μgの葉酸を摂取することが求められます。



葉酸が欠乏すると

葉酸が欠乏すると現れるのが巨赤芽急性貧血です。葉酸は赤血球の核酸の合成に関与します。もし葉酸が不足すると赤血球は十分に分裂できないまま成熟してしまいます。その結果通常の赤血球よりも巨大な赤血球となります。赤血球の数自体は減少し、大きなサイズの赤血球の数がふえるので、酸素運搬能力が低下して貧血症状に至ります。

妊婦は葉酸の必要量が増加します。しっかりと葉酸を摂取しないと欠乏症である貧血に陥りやすくなります。妊婦も出産をすれば必要量は通常量に戻るので出産をきにひどい貧血症状が治るという例もよく見られます。




より深刻な欠乏症である胎児の神経管閉鎖障害

妊婦の葉酸の欠乏症で特に怖いのが神経管閉鎖障害です。これは通常受胎後およそ28日前後に脳や脊髄へと成長していく神経管が閉鎖しますが、この過程で起こる形成異常が神経管閉鎖障害で、これにより無脳症や二分脊椎などの症状を引き起こします。神経管閉鎖障害は葉酸の欠乏だけが原因で起こるものではなく、遺伝の影響など様々な要因があるなかの一つと考えられています。しかしながら葉酸を妊娠を予定している女性に受胎前後3ヶ月間の間、サプリメントで1日に400μg葉酸を摂取させた研究では、神経管閉鎖障害の発症リスクが大きく減少したことが報告されています。

こうした研究は数多く発表されていて、欧米では妊娠前後の妊婦にサプリメントなどで葉酸を摂取することを推奨しています。日本でも厚生労働省により妊娠前1ヶ月から妊娠後3ヶ月の間サプリメントなどでプテロイルモノグルタミン酸を通常の推奨量にプラスして400μg摂取することを推奨しています。



口唇や口蓋裂、先天性心疾患のリスク低減も

サプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸の摂取では、胎児奇形一つである神経管閉鎖障害のほか、口唇や口蓋裂、先天性心疾患などの症状のリスクも低減することがわかっています。



葉酸を摂るのにおすすめの食材は?

葉酸は名前に葉が付いてることからもわかるとおり、野菜全般に多く含まれます。えだまめや芽キャベツ、アスパラガスやケール、ブロッコリーといった野菜類に多く含まれます。100gあたりの含有量が特に多いのが牛や豚、鶏の肝臓(レバー)です。ただし豚や鶏のレバーは葉酸の含有量だけでなくビタミンAの含有量も非常に多いので、ビタミンAの過剰症のほうが心配です。妊婦がビタミンAを過剰に摂取すると胎児の奇形発生のリスクが高くなることが知られています。ビタミンAの多い食品・食べ物と含有量一覧を見てもらってもわかるとおりビタミンAの含有量は1切れでも耐用上限量を超えてしまうほどです。そんな中で牛レバーだけは豚や鶏と比べるとビタミンAの含有量は控えめです。レバーで葉酸を摂取するなら牛レバーがいいでしょう。

レバー以外でも藻類ののりなどにも葉酸は多く含まれます。のりは一度の食事で取れる量が限られているのでこれだけで十分な葉酸を摂取するのは難しいですが、他の料理からも葉酸を摂取することでしっかりと葉酸を摂ることができます。

葉酸の多い食品については葉酸の多い食品・食べ物と含有量一覧で詳しく解説しています。



食品は新鮮なうちに

食品中に含まれる葉酸は熱や光に弱いので調理や保存でその量が大きく減少してしまいます。ある調査では新鮮な野菜を日の光に当たる場所で3日間保存していたところ、含まれる葉酸が70%減少したというデータもあります。食品で葉酸を摂取するなら、購入後は早めに摂取すると無駄なく葉酸を摂ることができます。



葉酸サプリメントもおすすめ

葉酸にはサプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸と食品の大半に含まれるプテロイルポリグルタミン酸があります。吸収率はプテロイルモノグルタミン酸が90%近くが吸収されるのに対し、食品中のプテロイルポリグルタミン酸は平均して50%ほどしか吸収されません。サプリメントは摂取しやすいだけでなく、通常の食品よりも葉酸の吸収率が高いのです。

ただし注意も必要です。通常葉酸はビタミンB12と協力して赤血球の核酸の合成反応などに関わります。このため葉酸だけでなくビタミンB12が不足しても貧血症状を引き起こします。しかしながらサプリメントに含まれるプテロイルモノグルタミン酸はビタミンB12がなくても赤血球の合成反応を維持することが出来ます。このためビタミンB12が欠乏しても貧血症状が発症しないわけです。この貧血症状はビタミンB12の欠乏症の中ではまだ軽いほうです。より重い症状である神経障害などを引き起こす前にビタミンB12の欠乏に気づく機会が妨げられてしまうわけです。葉酸をサプリメントで摂取する場合はビタミンB12もしっかり摂取するようにしましょう。



葉酸サプリメントは過剰摂取に注意

葉酸サプリメントは葉酸が取りやすく利用効率も高いのがメリットですが、過剰に摂取すると上記で述べたようにビタミンB12の欠乏症の発見を遅らせてしまうという弊害もあります。過剰摂取にはこのほか、葉酸の本来の作用であるDNAの合成やホモシステインのメチオニンへの変換などの作用を抑制してしまうといったことも指摘されています。

このため日本食摂取基準ではサプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸にたいして上限量が設定されています。妊娠前、妊娠初期の妊婦にとって葉酸を効率的に摂取できる葉酸サプリメントは大変便利ですが、摂り過ぎには注意が必要だということです。過剰摂取については葉酸過剰症、過剰摂取で見られる症状でも詳しく解説しています。

年齢 上限量
18〜29歳 900μg
30〜69歳 1000μg
70歳以上 900μg






参考文献
医療従事者のための機能性食品
わかりやすいからだとビタミンの知識
「ビタミン伝説」の真実
サプリメントデータブック
ビタミン・ミネラルBOOK―ストレス解消!体に効く!
エキスパートのためのビタミン・サプリメント
専門医が教えるビタミン・ミネラル早わかり
日本人の栄養所要量―食事摂取基準
日本人の食事摂取基準〈2005年版〉
ビタミン・ミネラルの本
わかる化学シリーズ4有機化学
栄養科学シリーズNEXT生化学
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉
よくわかる栄養学の基本としくみ
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学
栄養・健康科学シリーズ生化学
スタンダード栄養・食物シリーズ基礎栄養学第3版
栄養の基本がわかる図解事典
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最終更新日 2016/05/07
公開日 2016/03/09








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