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葉酸の構造と種類




葉酸の構造

葉酸は狭義と広義で範囲が異なる


葉酸は狭義ではプテロイルモノグルタミン酸を指します。プテロイルモノグルタミン酸とはパラ(p-)アミノ安息香酸の一方にプテリジンが、もう一方にグルタミン酸が結合した化合物です。広義では補酵素型、すなわち還元型、一炭素単位置換型、およびそれらのポリグルタミン酸型も含みます。

プテロイルモノグルタミン酸の構造式

葉酸の定義

補酵素型葉酸、還元型葉酸とは


還元型というのは水素が二つ結合したジヒドロ葉酸や水素が四つ結合したテトラヒドロ葉酸などです。この「ジ」や「テトラ」などは水素が何個結合したかを表す数詞です。1個の場合は「モノ」、2個の場合は「ジ」、3個の場合は「トリ」、4個の場合は「テトラ」と表記します。還元されるとは酸素が奪われる、水素が与えられる、電子が与えられるといった反応のことで詳しくは以下で解説しています。

酸化・還元について






一炭素単位置換型とは

一部の水素が炭素基と入れ替わったもの


一炭素単位置換型とは下の図のR1とR2の位置にある水素がメチル基(-CH3)、メチレン基(-CH2)、ホルミル基(-CHO)、ホルムイムノ基(-CHNH)などの炭素原子(C)を一個含む基と置換わったものです。葉酸はこれらの基を他の分子から受け取り、アミノ酸(メチオニン)や核酸の中間体(dTTP)などに受け渡すという炭素基の転移反応に関わることで様々な生理反応に関与しています。

補酵素型の葉酸

補酵素型葉酸の水素の結合部位


それから上で説明した水素との結合ですが、上の図の5、6、7、8位の部分に水素が結合したものをテトラヒドロ葉酸といい、7、8位に水素が結合したものがジヒドロ葉酸といいます。

一炭素単位置換型葉酸の種類


話を一炭素単位置換型に戻しますが、R1とR2の位置にくる基の組み合わせでさまざまな種類の補酵素型葉酸が有ります。その組み合わせについて以下のようなものが有ります。ちなみに5、10-メテニル葉酸や5、10-メチレン葉酸は5位のN(窒素)と10位のNがメテニル基、メチレン基でつながります。

葉酸群の補酵素型
R1R2
5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸HH
5-ホルミル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸-CHOH
10-ホルミル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸H-CHO
5,10-メテニル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸=CH=
5,10-メチレン-6,7,8-テトラヒドロ葉酸-CH2-
5-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸-CH3H
5-ホルムイミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸-CH=NHH



ポリグルタミン酸型とは

ポリグルタミン酸型というのはグルタミン酸が複数結合した葉酸のことです。モノというのは1個をあらわす数詞だと説明しましたが、ポリとは複数という意味の数詞です。グルタミン酸のγ位の炭素と結合するカルボキシル基(-COOH)と結合し、複数ある場合は同様にしてさらに連なっていきます。γ位というのは上の構造式のグルタミン酸の部分の右側のカルボキシル基から数えて、その隣の炭素Cがα位、その隣がβ位、さらにその隣がγ位となります。α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)という順に数えていきます。このγ位の炭素についているカルボキシル基がγ位のカルボキシル基となるわけです。



食品中の葉酸の種類

食品中の葉酸の多くはポリグルタミン酸型


食品中の葉酸はそのほとんどがグルタミン酸が複数結合したポリグルタミン酸型葉酸です。食品から摂取したポリグルタミン酸型葉酸は小腸粘膜にある葉酸コンジュガーゼによってモノグルタミン酸型葉酸へと変換され吸収されます。食品中のポリグルタミン酸型葉酸の生態利用率はサプリメントで使われるモノグルタミン酸型葉酸の25〜81%程度で、平均すると50%ほどだといわれています。

葉酸サプリメントの注意点


葉酸サプリメントの生態利用率は高いのですが、問題点も抱えています。それは欠乏すると葉酸と同様に巨赤芽球性貧血を引き起こすビタミンB12の存在です。通常ビタミンB12が欠乏するとまずさきに巨赤芽球性貧血などの症状が現れ、欠乏が進行し症状が重篤になると各種神経障害を引き起こします。葉酸サプリメントはビタミンB12が欠乏していても巨赤芽球性貧血の発症を抑えてくれるので、結果ビタミンB12の欠乏症が深刻になってから発見されやすいのです。葉酸サプリメントを摂取する場合はビタミンB12もしっかりと摂取できているかどうかも気にかける必要が有ります。






参考文献
サプリメントデータブック
わかる化学シリーズ4有機化学
栄養科学シリーズNEXT生化学
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉
よくわかる栄養学の基本としくみ
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学
栄養・健康科学シリーズ生化学
スタンダード栄養・食物シリーズ基礎栄養学第3版



この記事を書いた人

kain

kain

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公開日 2015/11/28








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