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葉酸欠乏症、不足による妊婦や胎児への影響や貧血症状など




葉酸の欠乏による貧血症状

巨赤芽球性貧血とは


もともと葉酸は1937年に妊婦の巨赤芽球性貧血の予防因子として発見されたものです。巨赤芽球性貧血とは赤血球の容積が大きくなって酸素運搬能力が低下することで起こる貧血症状です。葉酸は細胞分裂や新陳代謝には欠かせない栄養素です。特に妊婦では胎児の成長に伴い葉酸の必要量も増加して欠乏状態におちいりやすくなるため、葉酸欠乏症として巨赤芽球性貧血を引き起こすのです。妊婦も出産後は葉酸必要量が通常に戻りますので出産をきっかけに症状が治ってしまうケースも良く見られます。

ビタミンB12の欠乏も貧血の原因に


巨赤芽球性貧血はビタミンB12が欠乏しても発症します。これはビタミンB12と葉酸が赤血球の中の核酸(DNA)やたんぱく質の合成に互いに協力して関わっているからです。葉酸は体内でメチルテトラヒドロ葉酸となり、さらに脱メチル化してテトラヒドロ葉酸となってDNAの合成に関与します。この脱メチル化にはビタミンB12を必要とするメチオニン合成酵素が必要です。つまりDNAの合成には葉酸だけでなくテトラヒドロ葉酸への変換に必要なビタミンB12も必要となるわけです。このどちらか一方でも不足するとDNAの合成に影響が出てきます。

酸素運搬能力が低下する理由


通常赤血球は核が分裂して細胞が増殖していきますが、ビタミンB12や葉酸が欠乏するとDNAの合成が影響を受け分裂が滞り、そのまま成熟していってしまうので、通常よりもサイズのでかい赤血球が作られます。また赤血球自体の総数も減少します。このため酸素運搬能力が低下し、貧血症状を引き起こすわけです。

葉酸やビタミンB12の欠乏症では初期症状として白血球の1つである好中球の核が5つ以上に分葉してサイズが大きくなった多核白血球の症状も見られます。

妊婦の葉酸欠乏症までの流れ



葉酸の欠乏による胎児への影響

胎児の神経管閉鎖障害


胎児の神経管閉鎖障害とは受胎後およそ28日で神経管は閉鎖しますが、この形成過程で異常が起こる症状です。これにより無脳症や二分脊椎、髄膜瘤という非常に重篤な症状を引き起こします。神経管閉鎖障害については遺伝など様々な要因が考えられ、葉酸の摂取のみで予防できるものではありませんが、受胎前後にサプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸を摂取することで、その発症リスクを大きく減らせることがわかっています。

このほか葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の摂取によってリスク軽減が期待される胎児奇形として、口唇、口蓋裂、先天性心疾患などもあげられています。

厚生労働省では妊娠1ヶ月前から妊娠後3ヶ月の間葉酸を通常の推奨量に付加してサプリメントなどでプラスで400μg摂取することを推奨しています。

プラス400μgの根拠


胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減させるためにも、神経管の形成時には母体が十分な葉酸栄養状態にあることが望ましいといえますが、受胎の時期を予測することはむずかしいため、厚生労働省では妊娠1ヶ月前から受胎に備えてしっかりと葉酸を摂取しておくことを推奨しています。

推奨量である400μgはアメリカやカナダの調査報告を参考にしたものです。この調査では妊娠可能な女性を対象に神経管閉鎖障害の発症・再発を予防する目的で、受胎前後の3ヶ月以上の間、0.36〜5mg/日の葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を投与したところ、神経障害はみられなかったと報告しています。葉酸には多量摂取により過剰症の心配もあることから、投与量の最低量である0.36mgを推奨量として定め、それを平滑化して0.4mg=400μgとしてます。



その他葉酸の欠乏症

動脈硬化のリスクが高まる


葉酸はアミノ酸の一種であるホモシステインをメチオニンへと変換させる際に必要となります。メチルテトラヒドロ葉酸がメチル基をホモシステインへと転移することでホモシステインはメチオニンへと変換されます。葉酸が欠乏するとホモシステインのメチオニンへの変換が十分に進まなくなるため、ホモシステインの血中濃度が上昇することがわかっています。ホモシステインの血中濃度が上昇すると動脈硬化症に関連のある血液凝固因子や血管内皮細胞が影響を受け、動脈硬化になるリスクが高くなります。

メチオニンへの転換ではビタミンB12も補酵素としてその働きに関与するためビタミンB12の欠乏もまた血中ホモシステイン濃度の上昇につながります。

口内炎・肌荒れ


葉酸は細胞の分裂や成長には欠かせない核酸の合成に関与するので、欠乏すると新陳代謝が活発な部位である口腔内や皮膚表面、粘膜などに炎症や肌荒れなどの症状が現れます。具体的には口内炎や舌炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの症状が現れます。潰瘍までには至らなくても下痢や食欲不振を引き起こすこともあります。



主な葉酸の欠乏要因

葉酸の摂取不足


葉酸の摂取不足は当然葉酸欠乏の要因となります。

小腸での吸収障害


葉酸は小腸で吸収されるため、非熱耐性スプルーなどの小腸の病気や、手術で小腸の下部を部分切除した場合などに吸収率が低下し、欠乏症を起こしやすい状態になります。

アルコールの大量摂取


アルコールの大量摂取も葉酸欠乏を引き起こす一つの要因となります。アルコールを大量に摂取すると小腸での葉酸の吸収と腎臓での葉酸の再吸収が抑制されることがわかっています。

妊娠による必要量の増加


葉酸は細胞の分裂や成熟、増殖には欠かせない核酸の合成に関与します。特に胎児は活発に細胞分裂を行い成長していくので、胎児を抱える妊婦は葉酸の必要量も増加します。

薬との相互作用


抗てんかん薬であるフェニトレイン、フェノバルビタールの長期投与により葉酸の血中濃度が低下する可能性があることが報告されています。また関節リウマチの治療などで使われる葉酸拮抗剤であるメトトレキサートの投与により葉酸の欠乏症が怒りやすくなるといったことも報告されています。これは核酸の合成に関わる葉酸の働きを阻害することで、治療効果を得ることを目的に使われているからです。



葉酸欠乏の判断指標は?

葉酸は次の3つが欠乏の判断指標として用いられます。1つは血清中の葉酸濃度(基準値=7pmol/ml以上)で、もう1つは赤血球中の葉酸濃度(基準値=305pmol/ml)、そして残りの1つは葉酸が欠乏するとホモシステイン濃度が上昇することから血清中のホモシステイン濃度(基準値=14nmol/ml以下)が指標として用いられます。

葉酸が欠乏すると巨赤芽球性貧血にともなうMCV(平均赤血球容積)値の増加が見られますが、鉄が欠乏した場合には赤血球容積を正常に保つように働くため、MCV値に異常が見られないことがあります。このためMCV値で診断には注意が必要となります。こうしたことから主に欠乏の指標にはMCV値よりも上記の3つが用いられます。



1日の葉酸摂取の推奨量は?

成人男女の葉酸の推奨量


葉酸の欠乏症に陥らないためにも毎日どのくらい摂取する必要があるのか、推奨量はいくらなのかを知っておくことが大切でしょう。食事摂取基準では18歳〜29歳の成人男性、女性いずれも推奨量は240μgと定められています。上限量は900μgに定められています。各年代の1日の推奨量、上限量については葉酸の食事摂取基準、一日の必要量は?で詳しく解説しています。

推奨量 上限量
男女18〜29 240 900
妊婦 240+240
妊娠前1ヶ月〜妊娠後3ヶ月 240+400

妊婦の葉酸の推奨量


妊婦の場合は推奨量にさらに240μgプラスして摂取することが推奨されています。厚生労働省では妊娠前1ヶ月から妊娠後3ヶ月の間はさらに付加量としてプラス400μgのプテロイルモノグルタミン酸型の葉酸を摂取することを推奨しています。プテロイルモノグルタミン酸型の葉酸はサプリメントなどに含まれる葉酸で、食品に含まれる葉酸の大部分はプテロイルポリグルタミン酸です。こちらの体内での利用効率は50%ほどなので、食事から摂取する場合は800μgの葉酸が必要になります。



葉酸を摂取するのにおすすめの食材

葉酸は野菜や海藻に多い


葉酸不足に陥らないためにはどのような食品に葉酸が多く含まれているのかを知っておくことも大切です。葉酸は食品群だと野菜類や海草類(主に海苔)に多く含まれます。野菜は量も取れるので葉酸の摂取には最適な食品です。海藻も食事としてとれる量は限られますが、100g当たりの含有量が非常に豊富なので、少量でもたくさんの葉酸を摂取できます。こうした食品をしっかりと毎日のメニューに加えておけば葉酸が不足することも稀でしょう。

ほうれん草は葉酸が多い

レバーも葉酸が非常に多い


レバーも葉酸の多い食品の代表的なものですが、こちらはビタミンA(レチノール)の含有量も非常に多いので、取りすぎるとビタミンA過剰症の心配が出てきます。レバーの中でも牛のレバーは比較的ビタミンAの含有量も控えめなので、取るなら牛レバーにした方がいいでしょう。葉酸の多い食品については葉酸の多い食品・食べ物と含有量一覧でも詳しく解説しています。

牛肝臓(レバー)は葉酸が非常に多い






参考文献
医療従事者のための機能性食品ガイド
サプリメント機能性食品事典
ビタミン・ミネラルBOOK―ストレス解消!体に効く!
サプリメントデータブック
栄養の基本がわかる図解事典
エキスパートのためのビタミン・サプリメント
基礎栄養学 健康・栄養科学シリーズ
日本人の食事摂取基準〈2005年版〉
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉
よくわかる栄養学の基本としくみ
新赤本第六版家庭の医学









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最終更新日 2016/11/25
公開日 2009/06/18






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