ビタミネ





HOME >> ビタミンTOP >> 水溶性ビタミン >> 葉酸の効果・効能
サイトマップ

葉酸の効果・効能




葉酸の働き、効果・効能とは

葉酸は体内でメチル基(-CH3)、メチレン基(-CH2)といった炭素(C)を持つ炭素基を受け取り、別の物質へとその基を移転することで様々な生理反応と関わります。まずは遺伝情報やたんぱく質の合成などを担う核酸の合成に関わります。核酸は細胞の分裂や増殖には欠かせないので、活発な細胞分裂をする成長期や胎児には欠かせないものです。また粘膜も細胞分裂が盛んな部位です。赤血球の合成にも核酸は重要な役割を担います。このように葉酸は核酸の合成への関与を通して様々な生理反応と関わっています。

また葉酸は動脈硬化や心筋梗塞の原因にもなる血中のホモシステイン濃度を低下させる働きもあります。これにも炭素基の転移が関与しています。それでは葉酸の効果や効能、働きについて以下で詳しく見て行くことにします。



葉酸の発見の歴史

ビタミンB群はもともとは一種類のビタミンと考えられてきましたが、後に複数の化合物の集合体であることがわかったため、発見順に数字が割り当てられました。この中のビタミンB10とB11が後に葉酸と呼ばれるようになります。

葉酸および関連化合物の研究はアメリカの生理学者のウィルスによって1931年からはじめられました。ウィルスはインドのボンベイ地方で特に妊婦に歩行困難などの重い症状が出ていた貧血について注目しました。この貧血の原因は食事からきているのではないかと考え、まずはボンベイの妊婦と同じ食事をサルにも摂らせて見ることにしました。するとサルにも妊婦と同様の症状が現れたことから、今度は何が原因なのかをさらに詳しく調べるためにサルに様々な食事を取らせてみたところ、イーストを取らせた時に症状が劇的に改善していったことから、イーストに抗貧血因子が含まれていることをつきとめました。

1944年にはアメリカのウィリアムス、ミッチェル、スネルらがほうれん草により多くの抗貧血因子が含まれていることを発見し、これを葉酸と銘銘しました。葉酸(folic acid)という名前はほうれん草(folium)に由来しています。翌年の1945年には葉酸の化学構造があきらかとなり、葉酸の合成にも成功します。



葉酸の構造と種類

葉酸は狭義ではパラアミノ安息香酸にプテリジンとグルタミン酸が結合したプテロイルモノグルタミン酸を指します。広義ではプテロイルモノグルタミン酸の補酵素型も含みます。補酵素型にはプテロイルモノグルタミン酸が還元されたデヒドロ葉酸やテトラヒドロ葉酸、一炭素単位置換型及びそれらのプテロイルポリグルタミン酸などがあります。還元型とは水素が2つくっついたデヒドロ葉酸や4つくっついたテトラヒドロ葉酸のことです。一炭素単位置換型とはこれらくっついた水素の一部がメチル基(-CH3)、メチレン基(-CH2)、ホルミル基(-CHO)、ホルムイムノ基(-CHNH)などと置換わったものです。こうした1つの炭素(C)を持つ基を一炭素単位といいます。



葉酸はこうしたメチル基などの基を他の分子化合物から受け取り、以下で説明する動脈硬化と関わるホモシステインや遺伝情報やたんぱく質の合成を担う核酸の中間体(dUMP)に基を受け渡します。こうした炭素基の転移反応を担うことで様々な生理反応に関わります。

プテロイルポリグルタミン酸とはグルタミン酸が複数結合した葉酸のことです。食品中の葉酸のほとんどはプテロイルポリグルタミン酸です。プテロイル「ポリ」グルタミン酸は小腸粘膜でプテロイル「モノ」グルタミン酸に変換されて吸収されます。血漿や尿中ではモノグルタミン酸型として存在し、組織中ではポリグルタミン酸型としてたんぱく質と結合した形で機能します。葉酸の構造については詳しくは以下のページで解説します。

葉酸の構造と種類



核酸の合成に関与

核酸とは遺伝情報に関わる成分で、生命を維持し、増殖し、子孫へと情報を伝えていくうえで欠かせないものです。核酸には遺伝情報を格納するDNAと、遺伝情報を転写したり、必要なたんぱく質を集めてきたり、遺伝情報に基づきたんぱく質を合成する働きを担うRNAの大きく2つに分類できます。核酸には他にも様々な働きがあります。

核酸は塩基と五炭糖、リン酸が結合した化合物でこれをヌクレオチドといいます。核酸は結合する塩基や五炭糖の種類によって働きも異なります。塩基はプリン塩基とピリミジン塩基の2種類に分かれます。プリン塩基からなるものをプリンヌクレオチドといい、ピリミジン塩基からなるものをピリミジンヌクレオチドといいます。

葉酸はメチル基やホルミル基といった炭素基の転移反応を担う働きがあることは上でも説明しましたが、ホルミル基をもつホルミルテトラヒドロ葉酸(ホルミルTHF)とメテニル基を持つメテニルTHFが炭素基であるホルミル基、メテニル基を提供することでプリンヌクレオチドの生合成に関与します。

またメチレンテトラヒドロ葉酸(メチレンTHF)からメチレン基を供給することで、ピリミジンヌクレオチドであるウリジン酸(UMP)からチミジル酸(dTMP)の生成にも関与します。核酸については詳しくは以下で解説しています。

核酸とは何か、DNA、RNAの違いについて




動脈硬化を予防する

葉酸はアミノ酸の一種であるホモシステインのメチオニンへの転移に必要です。メチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHP)のメチル基をホモシステインへと供与することでメチオニンが生成されます。葉酸が欠乏すると転移が進まず血管内のホモシステイン濃度が上昇します。ホモシステインは血液凝固因子や血管内皮細胞に影響をあたえるので、血中ホモシステイン濃度の上昇は動脈硬化や動脈血栓、さらには狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの発症のリスクの増加につながります。

葉酸をしっかり取ることで血中ホモシステイン濃度は低下しますが、同様にホモシステインの代謝に関与するビタミンB6やビタミンB12もしっかりと摂取することでホモシステインの低減効果はよりいっそう高まります。

ホモシステインからメチオニンへの合成はメチオニンシンターゼと呼ばれる酵素が必要で、ビタミンB12がこの酵素の補酵素として働くため、メチオニン生成にはビタミンB12も欠かせません。

葉酸やビタミンB12はホモシステインのメチオニンへの代謝に関わりますが、ビタミンB6はホモシステインのグルタチオンへの代謝に関わります。ホモシステインがシスタチオンになる際とシスタチオンからシステインになる際にビタミンB6は必要となります。このシスタチオンから抗酸化物質のひとつであるグルタチオンが生成されます。葉酸とビタミンB6、ビタミンB12はいずれもホモシステインの代謝に関わるため、欠乏すると血中ホモシステイン濃度の上昇につながります。


参考: (Ubbink,J.B., :J.Nutr.,124:1927-1933,1994)



DNAのメチル化

メチオニンはDNAを構成する塩基であるシトシンやアデニンにメチル基を供与し、自身は再びホモシステインに変化します。メチル基を供与されたシトシンやアデニンはメチルシトシン、メチルアデニンとなります。DNAのメチル化の効果は十分に解明されているわけではありませんが、メチル化したDNAは遺伝子発現の調節や安定化に関与しているといわれています。

葉酸はホモシステインにメチル基を供与し、メチオニンへと変化し、そのメチオニンがメチル基をDNAへと渡してDNAをメチル化します。葉酸は間接的にDNAのメチル化に関与してるといえます。



赤血球の合成に関与

赤血球は骨髄で作られ、約120日の寿命ののち脾臓で分解されます。新しい赤血球はたえず作られていて、成熟の過程で核はなくなりますが、最初は核のある細胞です。核があるという事は普通の細胞と同様核酸やたんぱく質も生合成されなければなりません。

葉酸はすでに上でも述べてきたとおり核酸であるヌクレオチドの生合成にも関与し、DNAのメチル化にも関与します。もし葉酸が欠乏するとヌクレオチドの合成や代謝、DNAのメチル化が低下し、正常な造血機能が維持できなくなってしまいます。

ビタミンB12も葉酸と共に赤血球の造血過程での核酸やたんぱく質の合成に関与します。そのため葉酸かビタミンB12のどちらか一方でも不足すると巨赤芽球性貧血の発症の原因となります。赤血球も通常の細胞と同様分裂して増殖していきますが、そのために必要な核酸やたんぱく質の合成が滞ることで、分裂が十分に進まないまま成熟が進み、通常よりも大きなサイズの赤血球が生成されます。赤血球のサイズは大きいものの、数自体は減少してしまうので、酸素運搬能力が低下して貧血症状を引き起こすわけです。これが巨赤芽球性貧血です。

ビタミンB12と葉酸の欠乏では同じく骨髄で作られる白血球でも核が5つ以上に分葉した多核白血球がその初期症状として見られます。



※関連コラム  >>貧血とビタミン・ミネラル
>>酵素について1



成長や妊娠の維持に必要

核酸とは遺伝情報が詰まったDNAと遺伝情報の転写、たんぱく質の合成などを担うRNAのことで、これらは細胞の分裂・増殖・成熟には欠かせません。葉酸は核酸の成分であるプリン基やチミンの合成に必要な酵素の補酵素としてその働きを助けます。葉酸の欠乏は核酸の形成の阻害につながり、細胞の分裂や成長にも影響してくるので、細胞分裂を繰り返し活発に成長していく胎児にとってはとりわけ大きな問題となります。このことから妊婦は十分に葉酸を摂取することが求められます。

※関連コラム  >>酵素について1



粘膜の健康維持

粘膜は細胞の生まれ変わりが非常に活発なところで、体内でも葉酸が多く存在しています。細胞分裂に欠かせない葉酸が不足すると消化器系の粘膜にも障害がでてきます。口内炎や舌が赤くなる舌炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症例がそうです。潰瘍までにはいたらない場合でも食欲不振や下痢などを引き起こします 。



胎児の神経管障害の予防

胎児の神経管は脳や脊髄などに発達する部分で、受胎後およそ28日で閉鎖します。この過程で異常が起こる症状を神経管閉鎖障害(NTD: neural tube defects)といい、その結果として無脳症や脊椎二分症という重篤な症状を発症します。神経管閉鎖障害の発症機構についてはあまり解明されてはいませんが、神経管障害をもって生まれてくる新生児を出産した妊婦について調べてみると、葉酸の栄養状態が悪い事がわかっています。

欧米での研究では神経管障害を予防する目的で、妊娠を希望している女性に受胎前後3ヶ月間の間、葉酸入りのサプリメントや総合ビタミン剤などで葉酸を1日に400μg以上摂取させたところ、神経管障害をもって生まれてくる新生児が高い確率で減少するということがわかってきました。

新生児の神経管障害の発生や再発の予防に葉酸摂取が有効であるといったデータは欧米を中心に多数報告されています。こうした中アメリカやイギリスなどでは神経管障害は受胎後1ヶ月以内に発生するため、受胎前から葉酸を1日400μg摂取することを推奨しています。



がん予防

がんに関してはこれまでは葉酸の摂取ががんの発症リスクを低減させるのではないかと考えられてきました。ところが5万人を対象とした研究で、長期にわたりプテロイルモノグルタミン酸を摂取させてみても、がんの発症リスクは増大も減少もしないと報告されています。

一方「白血病患者に葉酸を投与すると白血病細胞が増殖する」という示唆から、葉酸と拮抗する作用のある葉酸拮抗剤が抗がん剤として注目されています。葉酸の働きを抑えることで白血病細胞の核酸の合成を押さえ、ガンを抑制しようというのがその意図で、現在化学療法では葉酸拮抗剤が多く使用されています。こちらは葉酸の効能というよりも葉酸の働きを抑制することで治療効果を期待するものだといえます。



葉酸の1日の推奨量と上限量

葉酸の推奨量


このような働きのある葉酸ですが、日本食事摂取基準では1日の推奨量を男女とも240μgと定めています。推奨量は女性の場合妊娠中や授乳婦では推奨量とは別に付加量が設定されています。胎児の成長や赤ん坊への与える母乳としての流出量が考慮されているためです。

葉酸の上限量


上限量は成人男女とも900μgに設定されています。ただしこれはサプリメントなどに含まれるプテロイルモノグルタミン酸での数値です。食品中には主にプテロイル「ポリ」グルタミン酸が含まれていますが、食品からの葉酸の摂取で過剰症が発生したとの報告はなされていません。一方でサプリメントでの葉酸の過剰摂取により神経障害が発生したとの報告がなされています。このためサプリメントでの葉酸の摂取には上限量が定められているわけです。各年代の推奨量、上限量については葉酸の食事摂取基準、一日の必要量、推奨量、上限量は?で詳しく解説しています。



葉酸の欠乏に注意が必要な人

葉酸は食品からの摂取が少なければ当然欠乏症に至りますが、妊娠期は胎児の成長のために必要量が増加するのでこちらも欠乏には注意が必要です。アルコールを大量に摂取する場合も、小腸ので吸収率や腎臓での再吸収の低下がみられるので、こちらも葉酸の欠乏には注意が必要です。



葉酸を上手に摂取するには

葉酸は熱や光に対して弱く、食品を日の当たる場所でそのまま放置していると含まれる葉酸も減少してしまいます。葉酸を無駄なく摂取するなら新鮮なうちに摂取するといいでしょう。保存する場合も日の当たらない冷蔵庫や冷暗所が向いています。またアルコールの大量摂取も小腸での葉酸の吸収の抑制や、腎臓での再吸収の抑制に働くので、こちらも摂り過ぎには注意が必要です。葉酸の上手な摂り方については葉酸の上手な取り方でも詳しく解説しています。



葉酸が多く含まれる食品

野菜は葉酸の優れた補給源


葉酸は野菜類に多く含まれます。アスパラガスや枝豆、ケール、めきゃべつ、ブロッコリー、なばな、茎にんにく、ホウレン草、春菊、トウモロコシなどどれも量も摂りやすいので葉酸摂取にはおすすめの食品です。

肝臓は葉酸は多いがビタミンA過剰症に注意


葉酸は動物の肝臓に特に多く含まれます。一切れでも非常に多くの葉酸を摂取できます。ただし豚や鶏の肝臓はビタミンAが多く、過剰症の心配があるので摂る場合は少量にしましょう。牛の肝臓の場合は含まれるビタミンAの量も豚や鶏と比べるとかなり控えめなのでとるなら牛の肝臓のほうがいいでしょう。

その他の葉酸が多い食品


海苔などの藻類も食品として摂取できる量は限られますが、非常に多くの葉酸を含んでいるので少量でも葉酸をしっかりと摂取することができます。このほか魚介類の生うにや豆類の納豆、ひよこ豆、果物のドリアンやアボガド、イチゴやマンゴーなどにも葉酸は多く含まれます。葉酸の多い食品については葉酸の多い食品・食べ物と含有量一覧でも詳しく取り上げています。






参考文献
医療従事者のための機能性食品
わかりやすいからだとビタミンの知識
「ビタミン伝説」の真実
サプリメントデータブック
ビタミン・ミネラルBOOK―ストレス解消!体に効く!
エキスパートのためのビタミン・サプリメント
専門医が教えるビタミン・ミネラル早わかり
日本人の栄養所要量―食事摂取基準
日本人の食事摂取基準〈2005年版〉
ビタミン・ミネラルの本
わかる化学シリーズ4有機化学
栄養科学シリーズNEXT生化学
日本人の食事摂取基準〈2015年版〉
よくわかる栄養学の基本としくみ
健康・栄養科学シリーズ基礎栄養学
栄養・健康科学シリーズ生化学
スタンダード栄養・食物シリーズ基礎栄養学第3版









ページTOPへ
最終更新日 2016/11/25
公開日 2004/01/24








水溶性ビタミン









since 2003/07/21
Copyright(C)2003 kain All Rights  Reserved